地図活用で小さな観光地をつなぐ

高知県の西部、清流・四万十川の中流に位置する四万十市西土佐に、2016年4月に誕生した道の駅『よって西土佐』。オープンから約1年、地元客や観光客など訪問者は20万人を超える。賑わう道の駅で地域の案内に一役買っているのが、ゼンリンのデジタルサイネージ。地域独自の情報を発信するツールとして、観光客の周遊促進などに効果を発揮している。

デジタルサイネージによる地域情報発信

道の駅を地域活性の拠点に

四万十市は、旧西土佐村と旧中村市が合併し2005年4月10日(しまんとの日)に誕生した。市域の85%が山林地帯で、中心市街以外の地域では山間の谷に集落が点在する。旧西土佐域の人口は3000人を下回り、特に中山間地域では少子高齢化の進展が深刻な問題となっている。

高知県では、産業振興戦略として“地産外商”を掲げる。その旗印の下、四万十市では総合計画において「道の駅」を核とした地域創造事業を策定。地域の衰退を食い止め、活性化の核となる施設として、四万十市初の道の駅『よって西土佐』を開設した。

地域資源として、ブランド力の高い四万十川を有する四万十市。川を目当てに夏場は多くのレジャー客が訪れるが、冬場をどうするかといった課題がある。
「四万十川だけではない見どころや独特の食文化、歴史など、まだ知られていない地域の魅力を発掘し、発信していくことが重要です」と、四万十市副市長の福本仁志氏。

新設した道の駅は、単なるドライバーの休憩所ではなく、地域資源や情報の発信拠点として重要な役割を担う。
道の駅『よって西土佐』は旧西土佐村の中心部を走る国道沿いに位置する。
地元の野菜や土産品を直売する「水々しい市場」、地元料理を楽しめる「西土佐食堂」、四万十の食材を使用したスイーツがウリのカフェ「ストロウベイル」、四万十川で捕れた天然鮎のみを扱う「鮎市場」など、地元の魅力がギュッと詰まっている。

施設には、観光客だけでなく、地元の買物客も多く訪れる。施設内にはコミュニティスペースも設けており、夏休みには地元の子どもたちが宿題を持って集まることも。
「道の駅は、情報発信や物販といった地域経済の拠点としてだけでなく、地域コミュニティ形成の場としても、大きな役割を果たします」
地元の人たちが毎日来て買物し、顔を合わせて情報を交換し、何かの時には集まり、イベントもできる。地域活性の核として道の駅を考えた場合、観光客だけに目を向けた施設ではなく、地元の人がいかに集うことのできる場所にしていくかが重要となる。

年間20万人を超す人が訪れる道の駅は、地元住民に元気を与え、西土佐地域に賑わいを呼び戻す起爆剤となっている。

インバウンドにも対応した効率の良い観光情報発信

「道の駅を作るにあたり、肝心の情報発信をいかにしていくかが重要なカギでした」
情報コーナーにはパンフレットやパネルを設置しているが、スペースには限りがある。そこで導入したのが、ゼンリンのデジタルサイネージだ。

「デジタルサイネージは、観光客が自分で情報を取りにいけるという意味で、非常に画期的なシステムだと思います」
ゼンリンでは長年、全国「道の駅」連絡会と連携し、フリーマガジンの制作や道の駅関連情報の提供など、地域活性化のためのプロモーション支援を行っている。その一環として手掛けているのが、デジタルサイネージソリューション。現在、北海道や広島など全国7カ所で導入されている。

デジタルサイネージシステムは様々な企業が開発しているが、ゼンリンのデジタルサイネージの一番の特長は、地図情報会社ならではの、詳細な地図情報をベースにしていることだ。
「西土佐を中心に、中村地域にも人を引っ張りたいと考えたとき、広い地域内に点在する小さな観光地や見どころを効率良く案内するうえで、地図をベースにした情報端末は非常に有効だと考えました」

さらに、地図情報が5カ国語(日本語、英語、韓国語、中国語(繁体字と簡体字))に対応し自由に切り替えられることも、導入の決め手となった。
「地図情報が多言語化されていることは、訪日外国人観光客にとっては、安心で便利です。インバウンドの視点で言えば、英語だけでなくアジア圏を踏まえた多言語での情報発信が、今後、必須になっていくと思います」

ゼンリンのデジタルサイネージは、道の駅を起点に、周辺施設、観光スポットなどを施設名やジャンル(食・見る・泊まる・買う・体験する)から検索できる。詳細な観光情報、道の駅からのルートや所要時間が地図上に表記され、視覚的に情報を把握しやすいのが特長だ。
中身のコンテンツは四万十市が用意する。
「パッケージ化されたものに付加する形で情報を追加できるため、非常に便利です。あとはそこに、いかに自分たちの想い入れを込めて地域をPRするための情報を盛り込めるかがカギです」

四万十市では現在、コンテンツを充実させるため、地域の商工会議所、観光協会などからデジタルサイネージへ登録する情報を収集している。コンテンツを充実させ、今まで素通りされていたスポットや地域の知られざる魅力を掘り起し、PRしていく。

観光客の周遊・長期滞在にデジタルサイネージは効果的

情報端末という意味では、パソコンを設置している道の駅は多い。しかし、ネットで必要な情報を検索するには、ある程度、地域に対する予備知識が必要だ。知識がなければ検索ワードすら入れられない。
一方、道の駅『よって西土佐』のデジタルサイネージは、地域のスペシャルな情報端末だ。四万十市をより深く知るための情報に絞られているという意味で、訪れた観光客にとっては、シンプルに知りたい情報をキャッチすることのできるツールと言える。
福本氏は「デジタルサイネージは、より深く地域を知ってもらう入口、きっかけになると考えています」と高く評価する。

デジタルサイネージをさらに有効に活用するには、コンテンツの充実はもちろん、いかに情報を更新していくかが重要となる。四万十市では、常にフレッシュな情報にアップデートできるよう、現在、体制づくりを進めているという。
今後の観光を考えた場合、周遊型、長期滞在型の観光客をいかに増やしていくかがポイントだ。そうした観光客の心を掴むためには、インターネットでは検索できない穴場的な観光スポット、地域ならではの文化や食など、道の駅に寄ったからこそ得られる情報が価値となる。観光客に「次は別のスポットを訪れたい」、「もう一度来てみたい」と思わせることが、デジタルサイネージが果たす大きな役割と言える。

ゼンリンが提供するデジタルサイネージソリューションは、地域に根差した情報発信ツールとして、四万十市をはじめ、日本各地の地域活性化を後押しできるはずだ。

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