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くらし[消防防災]

震災における災害時支援協定の役割

熊本市様の状況
復旧・復興を促進する「地図の力」

地震や台風などの災害時に、被災規模の把握や、その後の復旧・復興に欠かせないツールの一つが地図。地図情報会社のゼンリンは、有事に“即、地図を利用し行動する”ため、全国の自治体と「災害時支援協定」を結ぶ。災害発生時、地図がいかに重要か。熊本地震の経験から学ぶ。

熊本地震に学ぶ災害への備えと、
ゼンリン災害時支援協定の効果

連続地震で被害が拡大

2016年4月14日以降、熊本県と大分県で相次いで発生した熊本地震。熊本県では14日21時26分、益城町で震度7、熊本市で震度6弱の揺れに見舞われた。
熊本市政策局・危機管理防災総室の小原祐治室長は「ドンという大きな揺れを感じ、職員はすぐにそれぞれ持ち場につきました。当時の状況は、一部で短時間の停電・断水が起きた程度で、被害も限定的なものにとどまっていました」と話す。

3万~4万人の住民が、避難所に指定されている学校などに避難したことから、市役所内の対策本部では区役所を通じ、備蓄の食料や水、毛布などを配布。熊本市内の弁当屋、パン屋などに依頼し、15日以降の朝食や昼食を避難所に運ぶ段取りもつけていた。
ところが、16日深夜1時、益城町と西原村で震度7、熊本市で震度6強の本震が発生。広域にわたり、建物崩壊や道路の寸断が起こり、これまで稼働していた工場も軒並みストップ、天井材が崩落するなどで使えなくなった避難所も相次いだ。この時点で、都市機能は完全にマヒしたと言っていい。

「16日以降、震度7、震度6といった余震が頻繁に起こり、避難所へ行っても中へ入れない状況が続きました。公園やスーパーの駐車場に自家用車で避難し、車中泊の避難者が多かったことが、熊本地震では特徴的だったかと思います」(小原室長)。

災害時の地図の役割とは

熊本市は大地震の経験は少ないものの、阿蘇を水源とする白川や緑川など大きな河川を持つ。豪雨や洪水などによる水害が多く、2012年7月にも、北九州北部豪雨で甚大な被害を受けている。
減災・防災の体制強化を進めていた市では、熊本地震が発生する以前、2014年7月に、ゼンリンと『災害時における地図製品等の供給等に関する協定』を締結していた。

同協定は、災害発生時に即時に住宅地図を利用できる環境の構築や、両者の連携を強化し、災害対応に役立つ実用性の高い地図を創出することが目的。熊本市にはあらかじめ、市全域のA0サイズ広域図2枚、各区のA0サイズ広域図5枚、住宅地図帳15冊、住宅地図ネット配信サービス『ZNET TOWN』が提供されていた。
「震災発生直後は、人命救助を最優先にしながら、同時に主要道路や橋梁の状況把握、被害の全容の早急な把握が必要となります」(小原室長)

対策本部では広域地図を広げ、道路の寸断状況、崖崩れの危険性など、区役所などから入ってくる情報を書きこんでいく。一方、区役所では住宅地図を睨みながら、情報の収集に努める。また、土地勘のない自衛隊や他地域から応援にかけつけた職員に対しても、詳細な住宅地図は欠かせない。

震災直後の人命救助や被害状況の把握だけでなく、震災後の復旧に必要な罹災証明を迅速に発行するためにも、地図の活用が有効だ。被災した家屋を1軒1軒調査するには人手がかかる。熊本市の職員だけでは手が足りない。
「他地域から応援に来られた職員の方に効率よく手伝っていただくには、地図が欠かせません。住宅地図は、復旧・復興にあたっての重要なツールです」(小原室長)

震災を教訓に、さらなる地図活用へ

ゼンリンは、災害時の救援活動、一刻も早い復旧・復興に貢献するため、被災した自治体など公的機関に住宅地図を無償で提供する活動を長く続けてきた。しかし、災害発生時に現地へすぐに地図を届けられるとは限らず、自治体が常時最新の地図を保有することも困難だ。

そうした課題を解決するために開始したのが、各自治体と結ぶ『災害時支援協定』。2017年1月末時点で、全国308自治体と協定を締結している。災害時に利用できる備蓄地図・広域地図の提供、備蓄地図の一定期間の複製利用の許可、インターネットで利用できる住宅地図の無償提供などが、協定の主な内容だ。
今回の熊本地震では、協定の機能が有効に働き、熊本市の対策本部における状況把握や救援活動、復旧活動にゼンリンの地図が大いに活用された。

また、熊本市では、地図を災害時だけでなく防災にも活用。具体的には、地域版ハザードマップ事業として、行政が配布するハザードマップを地域専用に市民自身で作り変えるための手引書を公開し、市民のマップ作りを推進している。市民が「待ち歩き」を通じて過去の災害記憶や災害時に注意すべき事を意見交換することでコミュニティ強化や地域防災の向上を狙う。

豪雨や台風などの水害であれば、気象庁の情報などから、避難情報や勧告を出し、ある程度準備ができる。さらに、被害の発生する地域も河川流域などに限定される。
しかし、「地震の怖さは、予測ができないことと、被害が広範囲にわたり都市機能がマヒしてしまうことです。改めて、普段からの準備、心構えが重要だと感じました」(小原室長)

熊本市では熊本地震の経験を踏まえ、地域防災計画を全面的に改訂する予定だ。小原室長は、日頃使う地図に「避難所や市と協定している企業、断水時のための井戸情報などを盛り込み、より実用的にしていければ」と具体的改善策を話す。
また、住民が自ら情報を取れるWEBを活用した地図の活用にも目を向ける。

災害発生時の地図の重要性や有効性について、熊本地震から学ぶことは多い。

各区の被災時の初動対応における地図活用の事例とコメント

中央区:県外からの応援で、地図の力を実感

中央区は、名称どおり市の中心部にあり、交通の便が良くマンションなどの住宅が密集しているエリアだ。熊本地震では建物倒壊が起きたほか、都市ガスや水道などのライフラインも3-4日間停止し、多くの住民が小中学校などの避難所で過ごした。

中央区役所区民部総務企画課の木庭安浩主査は、ゼンリン住宅地図について、被害状況の確認はもちろんのこと、「県外から応援に来た人の活動に非常に役立ちました」と振り返る。
木庭氏は全国から届いた災害支援物資を集約し、各地の避難所に配送する業務に従事。実際の配送を行ったのは、関西や四国から応援に来た宅配業者や自衛隊だった。

「彼らには備蓄してあったゼンリンの住宅地図をコピーして渡しました。地図は目印や一方通行カ所を書き込むこともできたため、土地勘のない人でも効率よく配送をすることができました」と話す。

北区:初動に広域図・住宅地図を併用

農業地帯と住宅地が広がる北区は、熊本地震の本震で複数の道路が寸断され、ブロック塀の倒壊による通行止めも発生した。
「初動対応で避難支援物資を各避難所に配送する際、広域図とゼンリンの住宅地図を併用して車両への指示を行いました」と北区役所総務企画課の本崎壮一郎参事は話す。

「避難所となっている学校周辺は、住宅が密集して道路が非常に入り組んでいます。住宅地図にはランドマークとなる商店などが細かく記載されており、また、道路幅も把握しやすいため、配送車への指示出しを簡単に行うことができました。これは住宅地図ならではの強みだと思いますし、災害時支援協定は有事への備えとして非常に役立ったと思います」と評価する。
北区は普段から水害が多い意地域で災害に対する備えがあったからこそ迅速に行動できたようだ。

東区:指定外避難所への物資配送にも活躍

東区は市内で最も人口が多く、また震源にも近かったため、住宅が多数被害に遭い、2万8,000人以上が避難所を使用した。
東区役所総務企画課の松山英雄主幹兼主査は、「行政の指定する避難所以外にも、ショッピングモール駐車場で車中泊をしたり、団地の集会場に避難する住民も多くいました」と話す。

こうした行政指定外の避難所から避難物資提供の要請が届くことも多く、その配送時にゼンリンの住宅地図が活躍したという。「指定外避難所は場所がわからないことが多く、大規模団地では集会場が複数あったりします。
その際に、詳細な住宅地図の存在に助けられました。もちろん指定避難所への物資配送や、その後の罹災証明書発行のための家屋被害調査にも、住宅地図が役立てられています。

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