人気コミックで「3D都市モデルデータ」を有効活用
リアルな描写で読者の共感を

株式会社白泉社様(以下、白泉社様)は、漫画雑誌を始め、書籍やコミックス、文庫、絵本、電子書籍、アプリなどを幅広く制作する、1973年創業の出版社です。
雑誌「ヤングアニマルZERO」連載中の人気作品「数学ゴールデン」では、ゼンリンの「3D都市モデルデータ」を利用してリアルなシーンを見事に表現。その導入効果についてご紹介していきます。

課題

実在する街のリアルな描写をいかに実現するか。

ご提案内容

全国の政令指定都市を提供するゼンリンの「3D都市モデルデータ」のご利用。

導入効果

写真資料では再現できない、さまざまなアングルで描画検討を行い好みの作画を作り上げた。

導入企業様

株式会社白泉社様

本社:東京都千代田区神田淡路町2-2-2
資本金:1,000万円
従業員数:112人(2022年7月現在)
事業内容:雑誌、書籍、文庫、絵本などの制作、アプリの制作、運営など

今回取材をさせていただいたお二人
「数学ゴールデン」著者
藏丸 竜彦氏(左)

株式会社白泉社「ヤングアニマル」編集部 副編集長
高村 亮氏(右)

はじめに

漫画としては異例の「数学」を題材とした作品「数学ゴールデン」。作者藏丸竜彦氏は作品の魅力をさらに高めるため、リアルな街の描写を追求しようとしていました。
通常であれば実在する街の撮影を行い、そこで得られた写真をもとに作画をしていくところ、コロナ禍のため撮影が難しい状況でした。そこで藏丸氏は編集担当の高村亮氏と協議。
ゼンリンが提供する「3D都市モデルデータ」を駆使して、意図する街の描写に挑むことにしました。

【課題】

作家の意図が反映しやすい背景作り

数学オリンピックを目指す少年少女の青春を描く人気漫画「数学ゴールデン」

漫画作品の人気は当然ながらストーリーの面白さ、キャラクターやビジュアルの魅力などによって左右されますが、他にも様々な要素が作品の完成度に影響します。

「ストーリーがどれだけ面白いかが一番にくると思いますが、これまでにない題材はやはり読者にとって新鮮に映ると思います。そのような観点で『数学ゴールデン』はユニークな作品として受け入れられ、人気を博していますね。また、作者がしっかり取材をしているなとか、手間をかけて作画しているなといったことが伝わるような描写も重要な要素となってきています。そのような部分も『数学ゴールデン』の魅力のひとつと言えるでしょう」(編集者・高村氏)

「数学の問題が解けた時の気持ちよさをどれだけ表現できるかは、自分の中で大きなポイントです。でも、そうなるとキャラクターのアップに近い画角がどうしても多くなってきます。ですから一回、一回の終盤にはまあ、見開きでドーンと見せるページが欲しいというのが僕の思惑なんです。作品の構造をそのように考えているので、時にはしっかりとした風景、街の佇まいなどをどう描写していくかが、課題といえば課題でした」(作者・藏丸氏)

【導入背景】

コロナ禍での移動制限問題を解決しさまざまな画角検討が可能な「3D都市モデルデータ」を漫画作品で利用

「3D都市モデルデータは、道路から見た視点など写真撮影では不可能なアングルも見ることができる」と藏丸氏

「福岡の街をリアルに描きたくて、撮影のために現地に行こうとしていたのですがちょうどそのタイミングは、コロナ禍で移動制限が厳しい状況でした。それで3Dで福岡の街を再現したデータを探すことにしたんです」(藏丸氏)

ネット上でリアルな都市のビジュアルを探していた藏丸氏。その結果、行き当たったのがゼンリンの「3D都市モデルデータ」でした。そこで藏丸氏は福岡の天神を舞台としたシーンの描写に最適なデータを入手。最終的には「CLIP STUDIO PAINT※」に取り込み、テクスチャー等を貼り付けるなどして意図する情景に仕上げていきました。

株式会社セルシスが開発・提供する、イラスト/漫画原稿制作ソフト。

【導入効果】

読者の共感を呼ぶリアルなシーンを紙面に再現

「数学ゴールデン」第15話(単行本4巻)では、ゼンリンの「3D都市モデルデータ」を利用したシーンが複数展開されました。リアルでインパクトのある描写が作品の質をさらに向上させたと言えるでしょう。

「手元にある資料を駆使してなんとか九州の街を描写することもできますが、やはり、リアルな描写であればあるほど読者にとっては『この場所、知ってる』という共感が生まれ、テンションも上がると思うんです。そのように細かいリアリティを追求したかったのでゼンリンの『3D都市モデルデータ』を利用しました。自分で撮影した写真だと当然ですがそのアングルからしか情景が分かりません。でも『3D都市モデルデータ』であれば上下左右から街を見ることができ、好みのアングルで作画の資料にできるんです。僕にとっては新たな試みでしたが、その土地を知っている読者ならすぐに分かるシーンを描写できたと感じています」(藏丸氏)

ゼンリンの「3D都市モデルデータ」を使用したシーン

【活用例】

アングルをコントロールすれば、作画のアイデアをも引き出せる。漫画家のクリエイティビティ向上に寄与するゼンリンの「3D都市モデルデータ」

「僕に限らず、デジタルで作画する漫画家はとても多いので、ゼンリンの『3D都市モデルデータ』は今後、ニーズが高まっていくと感じます。これまでは、写真を頼りに街の風景描写を考えていたところ、データを使用すれば、こんなアングルで描写すれば面白いんじゃないかと気づくこともあるでしょう。自分の頭の中になかったアイデアが引き出せるという意味でも、漫画家やイラストレーターにとっては非常に心強い存在となっていくのではないでしょうか」(藏丸氏)

「こだわりの強い漫画家であれば当然、リアリティを追求する上でこのような3Dデータを求める声が強まっていくと感じます。この先、日本全国の3D都市モデルデータが活用できるとなれば、それを選ぶ人は相当数いるでしょう。また、作画に関する資料集めを編集者が行うことは多いのですが、地方在住の漫画家をサポートする時や遠方の資料が必要な時など、このようなデータが活用できると時間的にもコスト的にも編集者にとってはとても助かります」(高村氏)

漫画やアートにおける表現においても重要なツールとなり得るゼンリンの「3D都市モデルデータ」。ゼンリンではこれからも高精度、広範囲に渡る「3D都市モデルデータ」の提供を拡充していく予定です。ぜひご活用ください。

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