不動産会社と地図は、切り離せない深い関係がある。関西地域に38の直営店舗を持つ株式会社日住サービス様も、2007年にウェブサイトをリニューアルする際に、拠点案内サービスを導入した。また、2011年には、携帯電話向け、スマートフォン向けのサービスも開始した。この導入理由や効果についてお聞きした。

ゼンリンの拠点案内サービスを導入した背景

地図の導入は、事務作業の省力化と お客様の利便性向上をもたらす

関西地域に多くの直営店舗を持つ不動産会社、株式会社日住サービス様(以下、日住サービス)は、ウェブサイト上に物件情報を掲載していたが、その地図情報などはなかった。2007年にウェブサイトをリニューアルする際に、拠点案内サービスを導入し、物件情報に地図が紐づくようになった。

大木 氏

「住宅の販売には、お客様に自由に物件をご覧いただく『オープンハウス』というイベントが重要です。その準備として、オープンハウスをご案内するチラシをつくるのですが、販売する住宅の周辺地図をつくるのに、かなり手間がかかっていました。物件ごとに都合のよい縮尺の地図を用意し、周辺の店舗などを記入したりする必要がありました。この作業をなんとかして省力化したい、という気持ちがありました。」

そこで検討材料に挙がったのが、ウェブサイトに地図を導入することである。その地図を、社員がオープンハウスのチラシやお客様にお渡しする物件資料向けに利用できるものにすることで、省力化が図れるはずだ。

大木 氏

「同時に、やはりお客様が当社のウェブサイトをご覧になったときに、地図があるとわかりやすいだろうと考えました。」

ゼンリン商品の決定理由

住宅地図ならではの詳細さが ユーザーメリットとなる

大木 氏

「2006年にウェブサイトのリニューアルに向けての検討に入ったのですが、最大の課題は地図を導入すること。いくつか候補に挙がった中で、最終的にはゼンリンの拠点案内サービスに決めました。一番大きな理由は、ゼンリンの地図は『家のカタチがわかる』ことですね。」

これは、詳細な住宅地図を持つゼンリンならでは、の利点である。

大木 氏

「オープンハウス物件の地図をウェブサイトで公開するにあたって、家のカタチがわかると、それをご覧になったお客様にもリアルさが感じられます。ちょっとしたことに聞こえるかもしれませんが、価格の高い不動産を販売する際には、そのちょっとした情報もとても重要になります。」

ただ、ウェブサイトに物件情報が記された地図を掲載するとなると、気をつけねばならないこともある。

大木 氏

「物件によっては、オーナー様のご都合でウェブサイトには掲載しないこともあります。また、当社が持っている物件情報には、オーナー様の電話番号など、ウェブサイトには掲載できない個人情報も含まれています。こうした物件情報をデータベース化し、地図と連動させるのですが、データの中でもお客様にとって必要なところは表に出し、表に出せないところは社員のみ閲覧できるようにする必要があり、単純な地図サービスでは対応しきれないことが課題として挙げられていました。」

そこで選ばれたのが拠点案内サービスAPI / CGIだ。API / CGIならではの自由度の高さゆえ、物件ごとに「データベースには含むが、ウェブサイトには表示しない」といった、ユーザニーズに合わせた情報公開の手法を構築することも可能だからである。

モバイル版導入のきっかけと効果

お客様の携帯アドレスを有効活用するだけでなく 営業マンが現地でも有効利用できる

日住サービスでは2011年から、モバイル向けウェブサイトへも拠点案内サービスを導入した。

大木 氏

「モバイル向けウェブサイトサービスを検討した際にネックとなったのが、携帯電話の小さい画面で地図情報を閲覧し操作するのは、なかなか難しいことでした。しかし、弊社がモバイル向けウェブサイトの開発を検討した時期がちょうどスマートフォンの普及と重なったため、画面サイズも大きくなり、タッチパネルによる操作感の向上もあったことから、携帯電話向けウェブサイトと、スマートフォン向けウェブサイトにも拠点案内サービスを導入することに決めました。」

店頭にいらっしゃったお客様のメールアドレスを有効活用しきれていなかったことも、その契機となった。

大木 氏

「お客様に教えていただくメールアドレスですが、年々、携帯電話のメールアドレスの比率が上がっていました。お客様の条件に合った物件が出た場合、当社からメールを送っています。しかし携帯電話のメールアドレスに送っても、当社のウェブサイトが対応していないので、送る意味がないと判断し、携帯電話のメールアドレスは有効活用できていませんでした。これを解決したい、という思いもありました。」

モバイル版の導入時には、特に他社サービスを検討することもなく、ゼンリンに一任した。

高田 氏

「他社のサービス内容や費用について検討をしなかったのは、すでにPC向けウェブサイトにゼンリンの拠点案内サービスを導入済みだった、ということもありますが、ゼンリンの見積りの費用感が良かったからですね。操作性の良さを重視していたので、検索機能の充実や現在地からオープンハウス物件へのルート検索や徒歩なのか車なのかを選択できる点もお客様目線で考えた場合、重要なポイントになりました。さらに開発工数をかけずにサイトに地図を組み込めることができることを考えると割安感がありました。
出来上がったスマートフォン向けウェブサイトは、地図の拡大、縮小なども直感的に操作でき、PC向けよりも動作感が良いと感じられるもので、非常に満足がいきました。」

また、営業マンがスマートフォンを持つことで、営業ツールとしても有効活用できるようになった。

高田 氏

「お客様とご一緒に物件を回る際に、その場で新たな物件情報を検索し、お客様にお見せすることができるようになりました。その場で『もう1軒ご覧になりませんか』と提案できるのは、営業という観点では非常に大きいですね。」

地図データ活用の今後の展望

お客様向けだけではなく、社内向けにも ゼンリンの地図データの活用を

拠点案内導入以降、お客様向けウェブサイトのコンテンツの充実や、社員の資料作成の簡略化により、従来以上にきめ細かいお客様サービスが可能になった。

高田 氏

「元々、不動産業と地図とは、切っても切れない関係です。ただし、これまでは不動産業者が物件の情報を持ち、お客様は不動産業者の店舗まで足を運ばないと情報が手に入りませんでした。しかし、この数年のウェブサイトの進歩で、お客様がいつでも不動産情報に接することができる時代に変わったと感じています。私たち不動産会社は、これまで以上により質の高い情報をお客様に開示していく必要がありますね。そういった流れの中で、地図に含まれる情報は今後も重要になっていくと思います。」

拠点案内の導入をきっかけに、日住サービスでは、社内業務で使用する地図をシステム化することにも乗り出した。2012年より、住宅地図の他、用途地域情報や、路線価情報、通称ブルーマップと呼ばれる地番情報などのゼンリンの地図データを社内業務で活用し始めたのだ。

大木 氏

「新規物件を当社で受託する際には、物件の調査が必要となります。その調査の際に、住宅地図と土地に関わる様々な情報をひとつのシステムで利用できると、作業が非常にスムーズに進みますね。物件の適正価格を知るためには、従来であれば、バラバラの情報であった路線価や地番の情報を収集することから始めなければなりませんでした。それがゼンリンから全て提供してもらえるのは、非常に助かります。」

PC向けウェブサイトに拠点案内サービスを導入したときと同様、現場の営業マンに非常に好評だという。

高田 氏

「やはり、資料づくりにかかる時間が減り、お客様に対応する時間をこれまで以上に割けるようになった、という声が上がってきています。このシステムも、今後、より使い勝手がよくなるよう、発展させていきたいですね。」

大木 一夫 氏

総務部 部長
大木 一夫 氏
「拠点案内サービス導入によって、資料づくりなどの作業が省力化できたことが大きいですね。」

高田 俊昭 氏

営業本部 営業次長 兼 総務部IT担当
高田 俊昭 氏
「地図データの有効活用は、お客様向けだけではなく、今後は社内業務にもどんどん広げていきたいですね。」

日住サービスのウェブサイト

日住サービスのウェブサイトは、物件の検索がメインコンテンツとして据えられている。

物件のデータベースと紐付け、詳細な検索条件を設定

物件のデータベースと紐付け、詳細な検索条件を設定することが可能。

住宅地図ならではの精度で、家のカタチもわかることが重要

地図表示においては、住宅地図ならではの精度で、家のカタチもわかることが重要だ。

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拠点案内サービス

拠点案内サービスは、当社がインターネットを介して配信する地図情報を、お客様がより簡単に導入できるように設計されたASPサービスです。

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