住宅ローン審査と担保評価業務を、地図情報から変える――北洋銀行が進める現場起点の業務効率化

北海道全域にネットワークを持ち、「北海道の魅力度・幸福度をともに日本一へ 」をビジョンに掲げる北洋銀行様。
同行では、中期経営計画に掲げる「Make the HOKKAIDO Way 1ststage 」の実現に向け、顧客利便性の向上と業務効率化の両面からDXを推進しています。
その取り組みの一つが、住宅ローン審査および事業性融資の担保評価業務における、地図情報活用プロセスの見直しです。リテール推進部ローン企画室および融資部では、紙の地図帳や路線価情報を見比べながら進める従来業務に、時間や管理面での負担を感じていました。

こうした課題を解決するために導入されたのが、「ZENRIN Maps Studio」です。
ZENRIN Maps Studioは、ゼンリンの地図情報をベースに業務用途に応じて必要な機能・コンテンツを選択できる、セミオーダー型の業務支援クラウドサービスです。
今回は、リテール推進部ローン企画室 室長の只野様、ローン統括部 チーフマイスターの尾崎様、リテール推進部ローン企画室 主任調査役の鈴木様、の3名に、導入の背景や活用状況、住宅ローンDXとの関係、今後の展望について話を伺いました。

北洋銀行様における課題と解決策の概要。古い地図利用や路線価情報・地番の個別確認、紙地図帳の更新・管理負担に対し、ZENRIN Maps Studioで地図情報活用をデジタル化し、最新地図の利用、一画面確認、管理負担軽減を実現。
北洋銀行様インタビュー写真(鈴木様、尾崎様、只野様)

(左から)鈴木様、尾崎様、只野様

株式会社北洋銀行

リテール推進部 ローン企画室 室長
只野 麻紀 様

ローン統括部 チーフマイスター
尾崎 真里 様

リテール推進部 ローン企画室 主任調査役
鈴木 琢 様

【所在地】
札幌市中央区大通西3丁目7番地
https://www.hokuyobank.co.jp/

※本記事は2026年6月のインタビューをもとに作成しています。

紙の地図帳の更新・保管・確認作業が業務の負担に

――北洋銀行における、住宅ローン審査や法人向け融資の担保評価業務の概要と、これまで抱えていた課題について教えてください。

鈴木氏:

当行は、北海道全域に広がる営業店や、住宅ローンを専門に推進する「ローンプラザ」を全道16カ所に展開し、地域に密着した金融サービスを提供しています。

住宅ローン審査や事業性融資の担保評価業務において、対象となる物件や土地の正確な位置、周辺環境を確認するための地図情報は欠かせない基礎情報です。
しかし、従来の運用では、各営業店やローンプラザがそれぞれの予算で担当エリアの紙の地図帳を購入し、個別に管理していました。
広大な北海道全域の地図情報を最新に維持していくには地図帳の買い替えが必要ですが、常に最新版を入手するのは、予算面も含めて容易ではありません。
結果として現場によっては5年以上前の古い地図帳を使い続けざるを得ないケースが発生しており、全支店における課題になっていました。

――特に住宅ローン業務において、地図情報が古いままだと具体的にどのような実務上の支障があったのでしょうか。

住宅ローン審査における地図情報活用の課題について話す只野様
只野氏:

住宅ローンの審査において、最もタイムリーかつ正確な情報が必要となるのは、新築住宅のために宅地造成された地域や、新築マンションが建設されるエリアです。
当然ながら、お客様がお申し込みをされる時点では、現地はすでに区画整理されています。
一方、手元の地図帳が区画整理以前のものだと、そこはまだ畑や山林のまま掲載されていますので、担保評価に必要な地図情報としては十分に機能しません。

当行の事務基準上、場所を明確に指し示す地図を書類として必ず残さなければならないため、現場では、ハウスメーカー様などから提供された予定図や案内図も参照しながら、所在地を示す資料を整えていました。
本来であれば最新の地図情報で確認したいところですが、古い地図を前提にした作業のために前準備に時間と労力をかけていたのが実態です。

――審査に必要な他の資料との関係や生じる支障について教えてください。

尾崎氏:

審査や担保評価の現場では、地図で場所を確認するだけでなく、国税庁が公開している「路線価情報」も同時に確認し、書類に添付する必要があります。
そのため、路線価情報は国税庁のWebサイトから、地図は紙の地図帳から別々に取得して突き合わせるという手間が発生していました。

さらに、ベースとなる紙の地図帳が古いと、国税庁の最新の路線価情報に示されている道路の形状や区画と手元の地図の形状が一致せず、場所を特定するためのタイムロスと精神的な負担が生じていたのです。
やむを得ないこととして現場は受け入れていましたが、業務の効率化を阻む大きな要因になっていました。

――紙の地図帳という媒体ならではの運用上の難しさはありましたか。

鈴木氏:

紙の地図帳では、対象地がページの端や見開きの境目にある場合、必要な範囲を確認しやすい資料として整えるまでに時間がかかることもありました。
複数ページの確認や位置調整という資料作成の前準備だけで1件あたり10分以上の時間を要する場合もあります。

また、ローンプラザなどで同じ地域の地図帳を複数の職員が同時に必要とした場合、必要な地図が使用中、あるいは保管場所に戻っていない場合は、確認作業を始められないこともありました。
こうした背景から、全道どこからでも最新の地図と関連情報を確認できる環境が求められていたのです。

個人情報を持たない設計と機能選定が、導入の後押しに

――ZENRIN Maps Studioを知ったきっかけと、第一印象はいかがでしたか。

鈴木氏:

2025年夏頃、ゼンリンさんとの地域共創活動を通じた対話の中で、当行の地図運用の課題をお伝えしたところ、ZENRIN Maps Studioをご紹介いただいたのが始まりです。

只野氏:

初めてサービスのコンセプトを聞いた時、必要な機能だけを利用できる点が魅力だと感じました。
以前から、紙ではない地図サービスを銀行でも使えたら便利だと考えていたのですが、高機能なサービスは初期費用を含め費用が高額になりがちであるため、採用に踏み切れていませんでした。
業務に必要な機能だけに絞り込めるスマートな仕組みはないものかと、ずっと思い描いていたのです。

――多くの機能がある中で、最終的に絞り込んだ機能と、その狙いを教えてください。

ZENRIN Maps Studioの機能選定や導入効果について話す鈴木様
鈴木氏:

今回の導入にあたっては、実務に直結する「住宅地図」、国税庁の「路線価情報」、地番を確認できる「ブルーマップ」の3つを選択し、これらを同じ画面上で重ね合わせて確認できる構成にしました。

当行の業務に必要な機能に絞り込んだことで、用途に合った機能構成と納得感のある費用感を両立でき、費用対効果を行内へ説明しやすい状況になりました。

通常システム導入時には初期費用が高額なことがネックとなりがちですが、ZENRIN Maps Studioは初期費用が不要で利用できる点も魅力的でした。

――金融機関へのWebサービス導入においては、セキュリティや個人情報保護への対応も重要になると思います。どのように検討されたのでしょうか。

鈴木氏:

金融機関では、お客様の個人情報を扱うため、外部サービスやクラウドサービスの導入には慎重な確認が必要になります。
特に、顧客情報を保存する仕組みがある場合は、システム部門での確認も含めて、導入までのハードルが高くなります。

その点、ZENRIN Maps Studioは、顧客情報を登録・管理する顧客データ取り込み機能は標準搭載ではなく、利用用途に応じて付与できるものでした。今回はこの機能を付与せず個人情報を保存しない形で利用しています。この仕様も金融機関にとって、安心して検討しやすい仕様だったと感じていますし、当行が導入を進めやすかった理由の一つです。

ローン審査、担保評価に必要な地図や情報を一画面に集約。作業時間は3分の1に

――導入後は、どのような業務や部門で利用されているのでしょうか。

鈴木氏:

当初は、住宅ローンを主管するローン企画室やローンプラザでの利用を想定していました。
ですが、プロジェクトを進める中で、法人の事業性融資において担保評価を行う融資部の担保評価センターでも同様の課題があることが分かりました。

また、当行の住宅ローン審査に関わる自行系保証会社のノースパシフィックでも、住宅ローン審査の中で地図を確認する場面があります。
住宅ローンと事業性融資では用途は異なりますが、不動産担保を評価するうえで必要となる地図情報は共通しています。
同時に紙の地図帳にまつわる課題も共通していましたので、導入により業務が改善できる可能性がありました。

関連部署で同じ最新地図を活用することにより迅速な意思決定と業務標準化に貢献
只野氏:

今回、それぞれの業務でZENRIN Maps Studioを活用できる形にしたことで、共通する課題の解決を図ることができました。
複数の担当者が同時にログインできるため、紙の地図帳のように誰かが使い終わるまで待つ必要がありません。
それぞれが必要なタイミングで地図情報を確認できる環境を作れた点も大きな利点です。
また、Webアプリケーションであるため専用端末を用意する必要がない点も、導入を後押ししたポイントだと思います。

――2026年2月に正式運用を開始されてから数カ月が経ちますが、現場の反応はいかがでしょうか。

鈴木氏:

本格運用を前に、現場のいくつかの拠点で1~2カ月間の試用期間を設け、実際の操作性を検証しました。
通常、新しいWebシステムを導入する際には、本部に対して操作方法の質問やシステムに関する問い合わせが相次ぐものですが、ZENRIN Maps Studioにおいては試用期間から現在に至るまで、現場からの問い合わせはほとんどありませんでした。

現場での操作性や利用状況について話す尾崎様
尾崎氏:

普段から使い慣れているスマートフォンの地図アプリに近い感覚で操作できるため、現場でも迷わず使えているのだと思います。

まさに「便りがないのは良い便り」という言葉通り、大きな問い合わせなく、日々の業務に自然に組み込まれていると感じています。

只野氏:

今のところ「つながらない」「使えない」といった声は届いていません。
占有防止のため、操作しない状態が5分続くと自動でログアウトする設定にしていただいていますので、必要な時にだけ使うような運用ができているのだと思います。

――具体的に、業務の作業時間はどれくらい短縮されたのでしょうか。

鈴木氏:

従来の紙の地図帳と国税庁のWebサイトとの二重確認、そしてそこから共有用の資料を整えていたアナログなプロセスと比較すると、対象地の特定からPDF出力まで、数分で完了できるようになりました。

尾崎氏:

感覚としては、作業時間は従来の3分の1から4分の1程度になっていると思います。路線価情報の確認も含めると、1件あたり5~10分程度の短縮につながっているのではないでしょうか。

紙を前提とした審査業務から、デジタルで完結する業務プロセスへ

――ZENRIN Maps Studioの導入は、北洋銀行様が推進する全体のDX戦略においてどのような位置づけになりますか。

鈴木氏:

当行では現在、住宅ローン申込み・審査業務のDXを推進しています。
フロントをWeb化しても、審査段階で紙の地図のまま作業する工程が残ってしまっては、業務全体の効率化にはつながりません。
今回の導入により、地図を直接PDFで保存し、そのまま審査関連の資料として活用できるようになりました。
住宅ローンDXを進めるうえで、地図情報の確認や資料化をデジタルで完結できる環境が整ったことは大きいと感じています。

住宅ローン審査をスムーズに!地図確認から資料作成まで画面上で集約

――審査の厳正さや安心感を支える上で、ゼンリンの地図データにはどのような価値を感じていますか。

只野氏:

日本には非常に複雑な住所体系を持つ地域や、区画整理の前後で街の形状が大きく変わるエリアが数多く存在します。
そのような環境下において、ゼンリンさんから地域の状況を正確に確認できる地図を継続して提供いただけることは、当行にとって大きな価値だと感じています。

――今後の展望や、ゼンリンに期待することを教えてください。

只野氏:

当行では「北海道の魅力度・幸福度を日本一にする」という長期ビジョンのもと、地域のまちづくりや成長に貢献していくことを目指しています。
今回の導入は、住宅ローン審査や担保評価業務の効率化を目的としたものですが、金融機関として地域に向き合うためのDXの大きな一歩であると捉えています。
今後もゼンリンさんには新しい取り組みをご提案いただき、協業の可能性をともに探求していきたいと考えています。

北洋銀行様は、ゼンリンの新サービス「ZENRIN Maps Studio」を導入し、紙の地図帳や路線価情報等を個別に確認していた従来の業務プロセスを、Web上で完結できる形へと見直しました。
複数の情報を同一画面上でタイムリーに確認できる環境を整えたことで、地図確認や資料作成にかかる時間を短縮し、住宅ローン審査や担保評価業務の効率化につなげています。
紙を前提とした業務から、デジタルで完結する業務プロセスへ。
正確な地図情報を起点としたDXは、住宅ローン業務の効率化にとどまらず、地域を深く理解し、北海道の成長や課題解決に貢献していく可能性を広げています。

地域担当者

エリアソリューション本部 北海道支社 札幌支店 高橋 裕一(たかはし ゆういち)

ゼンリン担当者 高橋裕一氏

コメント:
北洋銀行様では、住宅ローンの審査や企業融資の担保評価において、住宅地図、地番、路線価情報など、多様な資料を活用されています。
しかし、これらの資料はそれぞれ異なるソースから個別に収集する必要があり、資料収集に多くの時間と手間がかかるという課題がありました。
必要に応じて、急遽ゼンリンより最新の地図を購入されるケースもあったと伺っております。

ZENRIN Maps Studioの導入により、これまで別々に収集していた資料をワンストップで取得できるようになり、業務の効率化が実現できると評価いただきました。
加えて、地図情報は自動で更新されるため、常に最新の情報をご利用いただける点も安心してご活用いただいております。

初回のご提案からデモンストレーションを経て、北洋銀行様内での試用・評価を通じて課題解決への具体的なイメージをお持ちいただき、最終的にご採用に至りました。
また、クラウドで利用できることや、セキュリティ面でもご安心いただけたことも、導入の後押しとなったと感じております。

今後もZENRIN Maps Studioが北洋銀行様のDX推進や業務改善に寄与し、さらなる業績向上につながることを期待しております。

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