住宅地図を利用しやすい環境が職員の業務効率を格段にあげる

総務省が進める「自治体情報システム強靭性向上モデル」に伴うネットワーク分離により、業務の効率性に課題を感じる自治体は多い。そのような状況のなか、利便性に注視して、自治体の最適な地図活用の環境を提案しているのがゼンリン。担当役員の山本に、その内容について聞いた。

LGWAN対応の地図利用で業務効率が大幅に上がる

情報セキュリティ強化は、自治体にどのような変化をもたらしていますか。

外部からの脅威に対するセキュリティは高まった一方で、ダイレクトにインターネット接続できないため、業務に不便さを感じる職員は多いようです。また、地図利用については、GIS(※1)を「業務効率化のために使いたい」という職員が非常に多い(※2)のに対し、GIS利用のためのコストが高額であるため、導入できる自治体は限られます。

それでは、自治体ではどのような方法で住宅地図を利用しているのでしょう。

多くの自治体では、紙の住宅地図を利用しているケースが多く、国勢調査や都市計画など、多岐にわたる部署の業務で活用しています。紙の場合、「ページの切れ目が見づらい」「住宅地図買い替え時の情報転記の手間」が発生します。また、有事の際の災害対策本部では、場所特定や周辺状況の把握のために大量の住宅地図が必要になる。そのため当社では、紙もGISも含め、自治体の住宅地図利用環境をより最適化して整えることが、非常に大切だと認識しています。

それを実現するサービスはあるのでしょうか。

あります。当社は、総合行政専用ネットワーク「LGWAN」環境に対応したGISアプリケーション『ゼンリン住宅地図 LGWAN』を開発しました。400以上の自治体にヒアリングし、安心できる環境で、コストをかけずにいつでもだれでも、最新の住宅地図を利用できる状況が必要だと感じたからです。このサービスは、住民からの問い合わせ窓口業務、現地視察を伴う土木・建築部門のほか、防災や災害時の対応が必要となる危機管理部門、空き家調査業務まで共通して、自治体の業務効率を底上げするツールになりえるものです。最新の住宅地図上に、複数の職員が書き込んだ情報を重ねて、各自のパソコンで閲覧・共有できます。地図は任意の場所を中心に好みの縮尺で印刷可能。手軽にご利用いただけるよう機能をシンプルにし、自治体の人口規模に応じたムリのない料金プランとしました。
そのほか、各部署の業務ニーズにあわせた機能を追加していきます。

災害状況を迅速に把握できる防災パックを提供

具体的に教えてください。

まずは、平成30年6月にリリース予定の危機管理部門向け防災パックです。災害発生時には、住民からさまざまな要請や連絡が自治体に入ります。災害対策本部でもある危機管理部門は、県や国に状況報告するための情報集約が必要となります。防災パックを利用することで、集約作業を効率化できます。台帳機能を利用して、「災害情報台帳」を作成、関連部署で共有することで、災害情報や救助要請の対応状況などが迅速に把握できるようになります。

今後の自治体支援の方針を聞かせてください。

今回リリースのサービスをきっかけに、自治体職員の声を聞き、理解を深めることで、業務用途にあわせた最適な提案をしてまいります。地図の力で地域住民のみなさんの安全・安心に貢献していきます。

※1

地理情報システム(GIS:Geographic Information System)

※2

総務省「G空間情報の活用に係る地方公共団体の認識(平成26年版)」より

<利用自治体の声>「台帳」の更新作業が簡素化 住民情報を地図上で一元管理も

保健福祉課では、災害時の迅速な救援活動を目的に、高齢者や障がい者がどこに住んでいるかを「要援護者台帳」としてまとめています。300人ほどが対象で、これまでは紙ベースの地図に、一軒一軒、印をつけてまとめていました。要援護者が自宅から高齢者施設へと転居した場合などは、印を修正して台帳を差し替えています。また、地図が改訂されれば、これまでの情報を新しい地図にイチから転記する手間がかかっていました。

一方、電子住宅地図を導入して以降は、移転した住所は検索機能ですぐに調べられ、地図改訂によるすべての更新作業もクリック作業で終わります。また、要援護者の第一連絡先やご家族のお名前、かかりつけ医などさまざまな情報を地図上で一元管理できる便利さもあります。

さらに、防災担当の職員とLGWAN上で随時最新情報を共有でき、災害時の迅速な救援活動につながると思います。

 

ゼンリン 常務執行役員
山本 勝

昭和41年、福岡県生まれ。平成2年に株式会社ゼンリン入社。
経営戦略室事業戦略担当部長を経て、ゼンリン上席執行役員第一事業本部長。
住宅地図DBや配信型地図、GISまで幅広く営業部門に長期従事する。
平成30年4月より、DBを顧客の用途別に最適化する生産統括本部長職に就く。

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