住宅地図 for Webで市民サービスの品質向上へ 最先端のスマートシティ、会津若松市の現場業務改善をデジタル地図でサポート

福島県の内陸に位置する会津若松市では、2013年に全国に先駆けてスマートシティ構想を掲げ、その実現に向けたさまざまな施策を実施。市民向けのサービスだけでなく、行政事務を中心とした市役所業務の効率化や職員の業務改善にも積極的に取り組んでいます。そうした中、会津若松市では2023年度に「住宅地図 for Web」を導入。全庁にわたって利用されています。今回は、導入の経緯や実際に活用している現場の声などを中心に、市各課の職員の方へお話を伺います。

地図検索・閲覧スピードに劇的変化!
問い合わせへの対応も迅速化でき、市民サービスの向上に貢献。

地図の拡大縮小も任意で!
現場職員がイチ押しする、業務に寄り添う印刷機能。

LGWAN環境での利用もでき、汎用型全庁GISと使い分けることで、さらなる業務効率化を実現。

半世紀以上の歴史が育むスマートシティ

福島県内陸部に位置する人口11万人の会津若松市。四方を山に囲まれ、夏暑く冬寒い気温差を生かし、農作物の栽培や日本酒の製造が盛んに行われています。また、観光地としても有名で、鶴ヶ城や東山温泉、飯盛山などの名所旧跡には、全国から観光客が訪れています。そんな会津若松市では、テクノロジーを活用したまちづくりとして、2013年にスマートシティ構想を掲げ、その実現に向けて取り組んでいます。

会津若松市におけるテクノロジーの活用は、半世紀以上の歴史があります。1967年に大手電機メーカーの半導体工場が市内で操業。最盛期には4,000名規模の雇用を生み出し、経済の拡大や人口増加などを市内にもたらしました。また、工場の操業に合わせて、市では当時最新鋭の電子計算機を導入。庁内で稼働するシステムの内製化を図りました。この取り組みは近年まで続けられ、住民票プログラムや税計算システムなどを業者への委託に頼らず、長年にわたり職員自ら開発運用してきたのです。

こうした背景からテクノロジーを受け入れる素地が育まれ、2013年にはスマートシティ実現に向けた施策に着手。地域経済の活性化や市民生活の利便性向上、市民との情報共有促進を中心としたさまざまな取り組みが行われています。

スピードが求められる地図帳での対応

企画政策部情報統計課 伊藤文徳氏

順風満帆に見える会津若松市のデジタル活用。ですが現場職員の業務には、電話での問い合わせに対しスピードを求められる対応があります。その1つが、地図の照会です。会津若松市では全庁GISを使用しており、地図のデジタル化自体は実現できていました。しかし全庁GISは、機能が複雑で起動が重いなどの理由から、庁内でも利用する職員が少なく、従来の紙の地図帳やウェブ上の地図サービスを使いながら業務に取り組んでいたのです。

とくに住宅地図が利用されるのは、市民からの問い合わせ対応。従来は問い合わせの電話を受けると、職員が地図帳を開いて該当地域を確認するというオペレーションが取られていました。ベテラン職員であれば、どこにどの場所が載っているか把握していたため、すぐに対応できました。ところが若手職員は該当地域を探し出すだけでも時間がかかってしまいます。そのため市民を待たせて地図を探す業務が発生し、サービス品質の低下やばらつきを招いていたのです。

職員の業務効率化を加速させるWeb版住宅地図との出会い

実は、全庁GIS導入にあたって「ゼンリン製のデジタル地図を背景地図とすることも検討されていました。」と話すのは、庁内の業務改善を担当する企画政策部情報統計課の伊藤文徳氏。確かにゼンリンの地図は高精度でしたが、予算や仕様の都合から、当時ゼンリン製の地図は採用せず、他社製の地図を使用することになったのです。

そうした中、当社からご提案したのが「住宅地図 for Web」でした。当サービスはウェブブラウザ上で閲覧できる住宅地図サービスです。地図の検索、閲覧、印刷など、主要な目的に機能を絞り、高い機動性と安価な料金体系で提供しています。「提案後すぐに採用を決めた」と伊藤氏は話します。
「本当にこの値段でいいのか、印刷枚数の制限がないのか、何度も担当者に確認しました。地図の検索閲覧などに特化しているため挙動もスムーズで、全庁GISとは真逆のサービスなのでむしろ併用できるという判断でした。」(伊藤文徳氏)

導入から3ヶ月。現場職員の反応はどうなのでしょうか。今回は、農林課、税務課、まちづくり整備課の担当職員の方に、利用状況について伺いました。

サイズを気にせず地域指定。検索印刷がすぐできる

農林課 小林一則氏

農林課では、林道や公有林、農道などの維持管理、鳥獣の目撃や農作物被害への対応などを担当しています。一見すると住宅地図とは無縁の領域とも思われますが、庁内で最も利用されているのが農林課でした。農林課・副主幹の小林一則氏は、鳥獣目撃への対応で当サービスを頻繁に利用していると話します。

例えばクマが出没した場合、市民から警察へ目撃情報が通報される。その後農林課へ連絡が入り、目撃された場所を当サービスで特定する運用を行っています。
「以前は大判の地図帳を利用していましたが、サイズが大きいため通報を受けた際に机上での作業が難しかったですね。このサービスで、受話器を片手に目撃現場を特定できるので、スピーディに対応できるようになりました。またコピーするときは大判サイズをA4に圧縮して対応していましたが、このサービスではページの境目が切れ目なく1枚に収めて印刷できるので、苦労がありません。」(小林一則氏)
いまでは当サービスで表示した地図を印刷。目撃場所の現地調査や報告書の作成、課内の情報共有のほか、子ども達の安全のため、小・中学校への情報提供・注意喚起などに利用しています。また鳥獣捕獲の罠を仕掛ける地点の許可申請にも活用するなどしています。

工数6割削減。切り貼りせず一枚で印刷できる

税務課 遠藤啓之氏

税務課・主任主事の遠藤啓之氏は、固定資産税の土地に関する課税業務に従事しています。遠藤氏が住宅地図を使うのは、国や県、他部署からの公有地の評価額照会への対応だといいます。本来評価がつかない公有地を賃貸借するときなどに、国や県、他部署から依頼を受け、参考評価額を算出するのです。評価額は場所が少しでもズレてしまうとその額面が大きく変わるので、適切に回答しなければなりません。
「住宅地図では地域を細かく表示できるので、場所を特定する参考資料として使用しています。紙の地図を使用する場合、印刷や切り貼りの手間がかかっていました。このサービスでは対象の地域を一枚で印刷できるため、作成工数も6割ほど削減できました。」(遠藤啓之氏)

電話対応しながらも地図の検索閲覧可能

まちづくり整備課 遠藤博志氏

まちづくり整備課では主に公園緑地の維持管理を担当しています。まちづくり整備課・課長の遠藤博志氏によると、市民からの問い合わせがあった場合に当サービスを多く活用しているといいます。市内には公園・緑地がおおよそ300か所あります。問い合わせの多くは、夏場の繁茂による草刈りや蜂の巣の駆除、設備の破損、電灯の電球切れなどの対応が求められます。そのため同課では該当の場所を確認するためにこの住宅地図を利用し位置情報を確認しています。
「住民の方からのお問い合わせには旧町名と新町名が入り混じるなど探しづらい条件の場合がありますが、このサービスでは周辺の建物名などをヒントにし、対象地点を特定できます。電話を受けながらも簡単に地図を検索閲覧できるので便利です。」(遠藤博志氏)

実証期間からすでに職員の評判は好調

本格導入前の実証期間から「今後も継続するか、珍しく職員から問い合わせがあった」ほど、職員からも好評だったといいます。
「現状では利用する職員や機能が限られています。今後はより多くの職員へ、シンプルな機能である庁内のLGWAN上のPCで全職員が使用可能なゼンリンのサービスと高機能である既存の全庁GISのケースごとの使い分けの説明など、さらなる活用に向け取り組んでいきたいです。」(伊藤文徳氏)

全国に先駆けて庁内のデジタル活用を推進してきた会津若松市。その背景には庁内のアナログな運用からの脱却を目指し、各現場で業務改革というデジタル化にチャレンジしている職員が多くいることがわかりました。そうした中で業務改善に向けたお手伝いを当サービスで実現できたと思います。ゼンリンでは住宅地図ツールを通じた最適なソリューションを提案することで、自治体様の抱える細かな業務課題への解決、改善に向けた取り組みをサポートしてまいります。

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