ルート作成・配送先確認の手間を削減
新人ドライバーとベテランドライバーとの間の経験の差を埋め、配送業務の効率化を実現

関東圏で灯油やLPガス、燃料油、潤滑油などの販売・配送、ガソリンスタンドの運営を行なっているA社。灯油配送部門では20台のトラックが稼働しており、高年齢のドライバーが、比較的多く在籍している。

配送業務におけるルート作成や配送場所の確認作業を改善すべく、「ZENRIN ロジスティクスサービス」を導入。その経緯や導入効果、導入時の苦労話について、配車担当の方に話を聞いた。

課題・背景

ルート作成は経験頼り。新人ドライバーとベテランドライバーとの間に大きな差

A社はこれまでルート作成を手作業で行なっており、配達先の位置の把握も各配送担当者の経験頼りになっていた。

前日に配送リストで配送先を把握し、位置がわからない場合は無料地図アプリなどで確認を行い、各ドライバーが自身の記憶や経験を頼りに配送ルートを作成。ベテランドライバーは頭の中でルートを考え、10分ほどで1日の配送ルートを作成することができるが、新人ドライバーや代行ドライバーの場合は30分~1時間ほどかかっていたという。

「課題としては大きく2つ。ひとつ目は主に土地勘のない新人ドライバーや、担当ドライバーの急病発生時に他地区担当ドライバーによる代行配送をする場合に、簡単に配送ルートを作成でき、ナビゲーション機能を使って誰でも確実に配送業務を行えるようにすること。そしてもうひとつは異動等で配送エリアが変わったとしても、後任に簡単に引き継ぎができるようにしたいということでした。

特に新人ドライバーとベテランドライバーの配送効率の差は大きな課題でしたね。冬の繁忙期の場合、ベテランドライバーは1日あたり20~30件の配送をこなしていましたが、新人ドライバーや他地区担当のドライバーが配送する場合は10~15件程度です。そもそも、新人ドライバーや他地区担当ドライバーは配送に時間がかかることもあって、最初から割り当て件数自体を少なく設定しているのもありますが、配送効率には大きな差がありました。

また、配送ルート作成時に顧客の位置がわからない場合、ドライバーは住宅地図を持参して配送に行ったり無料地図アプリを活用したりしていました。特に無料地図アプリの場合は戸別の名称がないため、地図に表示された場所が本当に配送先かどうかわからず、事務所へ電話で確認するなどして1件あたり5~10分のロスが発生していたのです。

特に今後はベテランドライバーが退職し、世代交代が進んでいくはずです。スムーズに引き継ぎが行えること、新入社員が入ってもベテランドライバーと遜色なく配送ができること。こうした課題を解決できる配車計画システムを導入したいという想いはありました。」

導入経緯

ルート作成と配送先の確認にかかっていた手間が軽減

無料地図アプリを活用して改善に取り組んだこともあったが、正確な配送先の把握ができないなどの問題もあり、なかなか課題解決にはつながらなかった。そんな折り、ある社員から「スマートフォンで住宅地図を閲覧できるサービスがある」と提案され、本格的に配車管理システムの導入の検討を開始した。

「我々の課題を解決するためには配送先リストを取り込めること、そして住宅地図が閲覧でき、ナビゲーション機能があることが重要だと考えていました。そこで、まずはこの2点が実現できるサービスを探していました。そこで、ゼンリンに問い合わせたところ、「ZENRIN ロジスティクスサービス」の紹介をいただきました。

他社のサービスも検討してみましたが、詳細な地図情報を閲覧できることに加え、少ない台数から始められることで利用料金を大幅に抑えられる点に魅力を感じました。 

前述のとおり、特に土地勘のないドライバーはルート作成時や配達時にどうしても30分~1時間ほどかかってしまいます。また、配送場所がわからず事務所に電話で問い合わせるケースも多く、月単位でこれらの作業に費やした時間を積算すると相当なものになります。

このロスを削減するだけでもドライバーの負担が軽減でき、会社としても大きな利益につながります。ロジスティクスサービスを導入する意義は十分あると感じました。」

以上のような背景から、まずは灯油配送部門で「ZENRINロジスティクスサービス」を導入したのであった。

導入効果

配送ルート作成にかかる時間をほぼ削減。しかし、導入には壁も

実際に「ZENRIN ロジスティクスサービス」を導入して、配送ルートの作成や配送業務において大きな効率化が実現できたという。

「前日や当日の配送ルート作成にかかる時間がほぼ削減されました。配送エリアや配送ドライバーの指定、顧客ごとの配送時間指定などの各種条件を考慮した配送ルートの作成、ナビゲーションアプリでのルート案内、後任へのスムーズな引き継ぎが実現でき、配送業務の効率化につながったと考えています。」

一方で、導入までの道のりはスムーズなものではなく、社内では抵抗を感じていた社員もいたという。

「若い方はすぐに使ってくれたのですが、特にベテランドライバーは、従来の携帯電話は使えるものの、スマートフォンには抵抗感があるという高齢の方が多く、サービスの使用には消極的だったのです。自身の経験や知識、記憶をベースに独自の最短ルートで走り、わからないときだけ地図を確認するほうが効率的だと考えている節も感じられました。

そこで、まずは「システムと友達になりましょう」とサービスを使ってもらい、慣れ親しんでもらうところから始めました。もちろん今も継続中です。

ベテランドライバーでも使っているうちにナビゲーションアプリが便利だと感じてくれ、サービスへの見方も少しずつ変化してきているように感じられます。」

ナビゲーションアプリには今までの経験に基づいて走行してきたルートとは別のものが表示されることもあるが、「こんなルートもあるんだ」と新しい発見と捉えているベテランドライバーも少なくないという。

今後について

高齢化や属人化といった課題を解決できるツール

配送業務効率の改善が実現し、ベテランドライバーにも少しずつ受け入れられるようになってきた「ZENRIN ロジスティクスサービス」。次にサービスに対する意見について伺った。

「ベテランドライバーからすると、やはり『なぜこんな遠回りをするのか』といった声があがることもあります。特に誤って目的地を通過すると遠回りになり、リルート案内されてしまうので、Uターンでも良いのではと感じます。今後もナビゲーションの精度向上には期待したいです。

また、スマートフォンのアプリなので一般的なカーナビゲーションとは異なり、操作に少々癖があると感じました。ただ、これは慣れればそれほど問題ではないと考えています。

さらに、配達先が密集したエリアを走る場合、複数のルートが重なって表示されるため、通過後は別の色に切替表示するなど、わかりやすくしていただけるとありがたいです。

スマートフォンアプリとパソコンの、さらなる連携強化にも期待したいです。」

実際にロジスティクスサービスを使われているからこそ、奇譚のない意見を伺うことができた。今後も利用者の意見を参考に、ナビゲーションの精度や使い勝手を今以上に向上させていきたい。最後に本サービスについて総括していただいた。

「高齢化や属人化で苦労をされ、世代交代が進まない状況にある配送系の企業は少なくないと思いますが、「ZENRIN ロジスティクスサービス」を導入すればこれを解消できる可能性が見えてくるかと思います。特に中小企業やデジタル化が遅れている企業ほど、操作に慣れるためにも早めに導入されるといいかもしれません。

導入直後は「こんなにも簡単に配送ルートが自動で作れてしまうのか?」と驚いたものです。

逆に経験が浅い若手ドライバーが多い会社にもおすすめしたいですね。ある程度の規模がある配送企業が導入すれば、高い費用対効果が実感できるのではないかと思います。」

今後、同社では灯油配送部門での経験をもとに、全社的な配送効率の改善を目指すべく、他の部門への横展開も検討しているそうだ。

商品のご紹介

物流における様々な課題に対して、ゼンリンの位置情報ビジネスの知見とノウハウを活用した「効率化」と「安全・安心」を実現するトータルソリューションを提供するサービスです。

⮚主な機能

【配車計画】
経験を問わず最適な配送計画を作成できるAI自動配車システムです

【ナビゲーション】
輸配送の効率を高めドライバーの負担を軽減するナビゲーションアプリです

【動態管理】
車両位置や走行経路など、業務進捗を可視化する車両動態管理システムです

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