AI自動配車と大型車対応ナビで、
属人化した業務を効率的かつスピーディーに

MDL株式会社は、家具・インテリアメーカーのモダンデコ株式会社の運送部門を担うグループ会社である。
モダンデコ社は楽天市場を始めとするECサイトでも、数多く商品を扱っており、我々消費者にも馴染み深い。
その配送を担うMDL株式会社八潮営業所では、それまで利用していた配車管理システムを、業務効率化を求めて「ZENRINロジスティクスサービス」に入れ替えた。
その導入プロジェクトの中心人物が八潮営業所の次長、木下優氏(以下、木下氏)である。

木下氏が何に課題を感じ、導入によってどのような成果を得たのか、その取り組みの軌跡を追った。

導入企業様

MDL株式会社様

MDL株式会社様

【本社】
〒315-0013 茨城県石岡市府中1-5-12 カーニープレイス石岡5階
【八潮営業所】
〒340-0802 埼玉県八潮市鶴ケ曽根1734
【資本金】
10百万円
【従業員数】
41人(2021年8月現在) 
【事業内容】
家具・大型雑貨の配送・設置、各種イベント・展示会の輸送・搬入搬出作業、商品保管・入出荷作業などの倉庫役務、海上コンテナドレージなど輸出入役務、前各号に付帯関連する一切の事業

課題・背景

担当者2名が交代で、配送計画を1日がかりで作成していた

八潮営業所では、東京・埼玉・千葉・神奈川の1都3県に家具・インテリアの配送サービスを提供している。グループ会社の商品に加え、外部の大型の荷物も取り扱っており、提携の大手ECモールの家具・インテリア、トレーニングマシン、イベントで使用する什器など多岐にわたる。さらに、家具の組み立て、廃材回収、チャーター便など、展開するサービスも幅広い。

普段は1日5ルート前後、繁忙期は10ルート前後、トラックを走らせているという同営業所。その配送計画は、設立当初から導入されているシステムで作成していた。担当は、木下氏含む2名。計画立案からドライバーへの指示書作成までを日替わりで手掛けた。しかし、これがかなりのパワーがかかる作業。もともと利用していた配車管理システムは、ある程度大まかな配送計画を自動で作成できるものの、考慮可能な条件が少なく、配送時間の指定、組み立てサポートの有無などの条件によって、ルートの組み換えが必要で、経験や慣れを頼りに手作業で進めるしかなかったという。そのため、「1日分の配送計画を作成するのに、ほぼ1日かかりきりになっていた」と木下氏は振り返る。

今回お話を聞いたのは、配送担当且つ本サービス導入プロジェクトメンバーのMDL株式会社 八潮営業所 次長 木下優氏

外部クライアントにも配送サービスを展開するため、効率化が急務に

そのような中、2021年に新たな経営戦略が打ち出される。それまで同社はグループ会社の配送がメインだったが、今後は積極的に外部クライアントにも配送サービスを提供することになった。これにより、さらに配送量が増えることに。「このまま手作業で配送計画を作成するのは限界がある」と考えた木下氏は、配車作業を効率化できる新たなサービスを求め始めた。

そんな折、展示会で「ZENRINロジスティクスサービス」を知る。そもそもゼンリンは、ドライバーを通じて関心の高い企業だった。というのも、「表札」「建物名」の情報まで確認できる住宅地図がラストワンマイルを支援してくれると好評だったためである。それで住宅地図の詳細を聞くためにブースを訪問したときに、紹介されていた「ZENRINロジスティクスサービス」が目に留まったという。特に興味を惹かれたのは、「配車計画」機能。こちらは、AIによって最適な配送計画を作成するもの。ポイントは、細かな条件を設定できること。「時間指定や、配送する家具の組み立てサービスの有無など、条件に応じた配送計画を自動で作成できるので、これまで手作業だった業務を効率化できる」と木下氏は考えた。また、現場のドライバーにも住宅地図で認知されているゼンリンだったため、理解や協力を得られやすいと見込み、導入の検討が始まった。

導入経緯

3ヶ月でスピード導入。必要なデータが整えばすぐに実用できる

トライアルが始まったのは、2021年11月頃。配送情報は、受注システムから抽出できたため、新たにデータを作成する必要はなかった。また、システムの操作も直感的にわかる仕様だったため、旧システムからの変更による戸惑いもなかったという。その中で、本サービスで作成した配送計画と、従来の人力で作成した配送計画を比較検証。その結果、精度にほぼ差がなかったという。「これなら問題ない。今のシステムから変更してもよいかなと思った」と木下氏。

また、ドライバーへの指示書は、「配車計画」のデータ(帳票)をアウトプットする機能を活用。そこに、さらなるカスタマイズで必要なアウトプット項目も加えた。それにより、現在の指示書の大部分を自動で入力できた。現在の運用を効率化しつつ、将来的に更なるシステムの拡張性も見えてきたため、大いに期待の持てる結果となった。

このようなトライアルを経て、必要なデータが整えば、すぐに実用できると確信。導入検討開始からわずか3ヶ月でのスピード導入となった。

導入効果

配車作業時間を大幅に短縮。ドライバーの配送効率向上により、残業時間も削減

導入後、業務効率は目に見えて上がった。「配車計画」機能のおかげで、ほぼ一日がかりだった配送計画作成は、お昼前後に大部分が完了し、14時までには指示書も完成するように。「自動配車でパッと組んで、若干手直しするだけで済むので、非常に楽になった」と木下氏は語る。繁忙期の冬場は、トラックもドライバーもフル稼働し、多い日は1日200個の荷物を配送するが、それも滞りなく乗り切った。

さらに、木下氏は午後の空いた時間に、別の業務にも取り組めるようになり、仕事の幅が広がっている。「今は、外部クライアントへの営業活動に時間を割いている。会社への貢献度が上がった」と前にも増して意欲的に業務にとりかかっている。

また、ドライバー業務の効率化のため、「ナビゲーション」機能も導入した。いわゆるナビだが、情報ソースとなっているゼンリンの住宅地図帳は、一軒ごとの表札情報や建物名、ビルに入居するテナント情報まで詳細に網羅。さらに、建物の入口の位置まで情報が盛り込まれており、“ドアtoドア案内”が可能となっている。「一般的なナビは、建物付近で案内が終了するため、入口を探すのに時間がかかっていた。『ナビゲーション』機能で、その手間がなくなったのは大きい」と木下氏。このほか、八潮営業所は家具などを扱うため、どうしても大型トラックによる配送となるが、「ナビゲーション」機能では車格に応じた規制情報や道幅が考慮されたルートを設定することもできる。

これらにより、目的地の一番近くまで入れる道や、停車に適した場所も探しやすくなった。「導入前の同じ時期と比較すると、配送件数は変わらないのにドライバーの帰りが早くなった。明らかに残業時間が減っている」と木下氏。業務効率化はもちろん、ドライバーの負担軽減にも役立っているという。

“経験”や“慣れ”が必要な業務も、AI活用の自動配車で質が担保できるように

システムの導入は、業務の質にも影響を与えた。配送計画を手作業で行っていると、どうしてもヒューマンエラーのリスクが高まる。それを運用面でカバーしていたため、さらに労力がかかっていた。しかし、AI活用の本サービスを導入したことで、リスクヘッジが可能となり、業務負担が減ったという。何より、お客様へのサービスの質を保つことにも貢献している。

また、システムによって、属人化していた業務が標準化されたことも、大きな変化を生む可能性がある。配送計画の作成は、“経験”や“慣れ”が必要なため、これまではどうしても担当できる人が限られていた。今では、AIによる自動計算で、経験の浅い社員でも配送計画を作成できるとのこと。それはドライバーも同様で、配送エリアの道や土地に明るくなくても、迷いなくドアtoドアで配送できるようになった。今後の人材採用でも、より幅広い人材にリーチでき、可能性が広がっていると言えるだろう。

「ZENRINロジスティクスサービス」の配車計画の画面
各ドライバー毎の訪問エリアを地図上に見える化・管理、エリア別に作成できる

今後について

「動態管理」機能で、さらなる効率化を推し進めたい

今後、八潮営業所ではさらなる業務効率化を推進していく予定。現在、ドライバーの業務進捗は、作業の開始・完了時間などを紙に記入しており、その情報を事務員がExcelに転記することで情報の集積・管理を行っている。「入力業務に工数がかるのはもちろん、ドライバーが戻ってからの作業になるため、事務員の残業時間も長くなっている」と木下氏。そこで、簡易的な業務日報の作成が可能な「動態管理」機能も導入。現在利用拡大に向けて準備を進めている。「当社の場合、利用拡大に向けてタブレット端末の入れ替えが必要なため、まずは小規模で利用している段階。その成果を見て、順次利用拡大していきたい」と木下氏は期待を込める。

「ZENRINロジスティクスサービス」は、導入後もゼンリンの営業担当が継続的にサポートを行う。「何か相談があれば、すぐに電話している。とても心強い存在」と木下氏。「本サービスを導入したことで、作業効率が上がり、ミスの防止にもつながり、時間的な余裕もできた」とのこと。「また、今までできていたことが導入後にできなくなるという不満も特にない。もし、当社と同様の課題を感じている企業であれば、検討の余地があると思う」と木下氏は実感を語っている。今後は運用しながらさらなる改善・業務効率化を目指していく。

商品のご紹介

物流における様々な課題に対して、ゼンリンの位置情報ビジネスの知見とノウハウを活用した「効率化」と「安全・安心」を実現するトータルソリューションを提供するサービスです。

⮚主な機能

【配車計画】
経験を問わず最適な配送計画を作成できるAI自動配車システムです

【ナビゲーション】
輸配送の効率を高めドライバーの負担を軽減するナビゲーションアプリです

【動態管理】
車両位置や走行経路など、業務進捗を可視化する車両動態管理システムです

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