ジオマーケティングとは?仕組みや実際の活用方法、事例などを解説

商業施設やエンターテインメント施設などの建設は、数十から数百億円はかかる一大プロジェクトです。そのためどの地域に建設をするかは、プロジェクトを成功につなげるうえで非常に重要なポイントだといえます。成功の確率を上げるために欠かせないのがジオマーケティングです。今回は、そもそもジオマーケティングとはどのようなものなのか、具体的に何ができるのかをご説明するとともに、その仕組みや実際の活用事例などもご紹介します。これから建設プロジェクトの立ち上げにかかわる建設コンサルタント業やプロジェクト担当者の方はぜひ、参考にしてください。

ジオマーケティングとは?

ジオマーケティングとは、位置情報を利用したマーケティングを指すものです。特定の地域に住むユーザーをターゲットとしたマーケティング自体は新しいものではありません。例えば、新聞の折り込み広告や街なかで見かける店舗へ誘導する看板なども、特定の地域に住むもしくはそこにいる人へ向けたマーケティング手法です。
従来の地域を絞ったマーケティングに対し、ジオマーケティングが注目されるようになった背景として、スマートフォンの普及や街なかのWi-Fi整備が挙げられます。新聞の折り込みチラシや看板は、興味のあるユーザーにピンポイントでアプローチできる手法ではありません。アプローチしたい地域に折り込みチラシを入れても、アプローチしたいユーザーが新聞を購読しているとは限りませんし、看板も、ターゲットが看板のある場所に足を運ぶとは限らないからです。
しかし、スマートフォンのGPS情報やWi-Fiなど位置情報を取得する技術精度が上がり、以前とは比較にならないほど多くの情報が入手可能になっています。そして、入手した情報からさまざまな分析を行い、適切な情報提供を行えるようになったことで、ジオマーケティングが大きく注目されるようになったのです。

ジオマーケティングの仕組み

ジオマーケティングにおいて、位置情報を入手する手段は、パソコンでのインターネット上のIPアドレスやスマートフォンのGPS基地局電波、Wi-Fiの接続情報、ビーコンなどです。基本的に、個人情報までは特定できないように秘匿性を持たせたうえで位置情報を取得して分析を行い、用途に応じてさまざまな施策を実施します。

ジオマーケティングでできること

ジオマーケティングでできる主なものは以下のとおりです。

地域・顧客・予測分析

ジオマーケティングでは、リアルタイムでのユーザーの位置情報を取得できます。その位置情報からユーザーの行動や生活パターンの把握が可能です。
アウトレットモールやショッピングモールのような商業施設を建設する場合、事前に詳細な商圏分析が必要となります。ジオマーケティングを活用すれば、商圏分析を行うためのさまざまなデータの入手が可能です。
例えば、商業施設を建設する場所の近隣に訪れる人はどこから来ている人が多いのか、何曜日の何時にもっとも人が集まるのか、訪れる人の年代、単身なのか家族連れなのかなどの情報を入手します。
これらのデータを基に商業施設を建設すれば、どの程度の集客と売上が見込めるかの予測が立てられるようになり、最適な商圏分析が可能になるでしょう。

既存施設の集客施策

ジオマーケティングは、商業施設を建設後の集客施策としても活用できます。例えば、取得した位置情報を基に、ユーザーがいる場所に適した広告の配信を行うことが可能です。これをターゲティング広告といいます。
また、位置情報以外に、「過去1ヶ月以内に近隣の商業施設に行った人」「週に3回以上、最寄りの駅を利用している人」など行動履歴でのターゲティングも可能です。さらに広告を配信した人が実際に商業施設に訪問しているかどうかのデータ取得も行えます。これにより、大量にチラシを配布したり看板を設置したりするよりも効率的な集客施策が可能になるでしょう。
近年、いつでもどこにいても気軽に商品購入ができるECの普及・利用拡大により実店舗の集客が非常に難しくなっているのが現状です。これに対し、ジオマーケティングは訪問の可能性が高い人に直接アプロ―チできるため、実店舗の集客施策として大きな注目を集めています。

ジオマーケティングの活用事例

実際にジオマーケティングを活用して成果を上げている事例を紹介します。

インテリア雑貨販売店舗の事例

あるインテリア雑貨販売店では、まず、位置情報を利用した来店プロモーションの有効性を検証しました。
同店舗は、位置情報を活用し「通常のバナー(広告)」と「ダミーバナー(広告)」を展開。両者の実際の来店計測をすることで、実際の効果を検証したのです。結果として、通常のバナーはダミーバナーよりも来店率が高いことがわかりました。位置情報を使った広告が、来店プロモーションとして効果のあることが実証された事例です。

コンビニエンスストアの事例

あるコンビニエンスストアでは、LINEの機能「LINEチェックイン」を使い、来店したLINEユーザーにLINE公式アカウントからメッセージを配布するキャンペーンを実施しました。
具体的には、コンビニエンスストアに入店した人がLINEを開くと公式アカウントからメッセージが届いていて、友だち登録をすることでクーポンやプレゼントをもらえるものです。
この施策の重要点は広告を配信するのではなく、その場で使えるクーポンを配布したことです。これにより来店者の把握や継続来店の促進が実現したとしています。

スーパーマーケットの事例

あるスーパーマーケットでは、ネットチラシ閲覧サービスを活用したキャンペーンを実施して、高い成果を上げました。
具体的には、首都圏にある各店舗の商圏5km以内にいて、スーパーマーケットやドラッグストアのチラシを閲覧している人に絞ってキャンペーンの告知動画広告を配信したのです。
それ以前に性別・年齢で絞って広告配信した時に比べ、動画再生完了率は1.6倍。キャンペーンページでクリックされた割合も高くなったということです。

適切なジオマーケティングの実践で高い成果を実現させよう

ジオマーケティングとは、位置情報を利用したマーケティングです。リアルタイムでユーザーの位置情報が入手できるだけではなく、過去の情報も合わせた行動履歴も把握できるため、商圏分析にも大きな効果を発揮します。
近年、スマートフォンの普及もあり、以前とは比較にならないほど多くの情報取得が可能になりました。ユーザーの位置情報も同様ですが、ただ単純に情報を取得しても成果を上げるのは簡単ではありません。重要なのは、なぜ位置情報を取得するのか、その目的の明確化です。
目的が明確になれば、リアルタイムの位置情報だけでよいのか、行動履歴も必要なのか、収入や勤務先情報まで必要なのかも明確になります。必要な情報だけを取得し、分析を行っていけるため効率的な分析・マーケティング施策の実行が可能です。
いまや新たな商業施設や建設、既存施設の集客施策において、ジオマーケティングは欠かせないものとなっています。多額の予算をかけて行うプロジェクトとなるため、事前の商圏分析を確実なものとすることが求められます。そのためにも、ジオマーケティングの実施で高い成果を目指しましょう。
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