地域メッシュとは?種類や活用方法と活用例を解説

地域メッシュとは統計に利用することを目的とし、地図上の地域を網の目に分けたものです。各区域を網の目(メッシュ)で分けることにより、位置の特定を容易にするという効果があります。不動産業界、特に建設コンサルタント業やプロジェクトに関わる担当者は、地域メッシュに関心が高いのではないでしょうか。というのもそれらの業務では高性能なGIS(地理情報システム)が必要であり、GISでは地域メッシュを活用して規則的に地図を分けることで、地理データの精度を向上させることができるからです。
本記事では地域メッシュの意味と種類、具体的な活用方法等について解説します。

地域メッシュとは何か

地域メッシュとは地図に描かれている格子状の線のことです。統計に利用することを目的として、緯度と経度に基づいて地図上の地域を網の目で分けています。
ほぼ同じ形やサイズの区画が設定されているため、調査対象地域のデータを過不足なく取得しやすくなりますし、地域メッシュ同士の数値比較もスムーズです。また、行政区域の境域変更や地形の変化等の影響を受けないため、時系列比較も容易です。
地図情報のデジタル化や欲しい統計情報を適切に取得するために好都合といえます。
GISにおけるメッシュは対象地域の地図を四角形で規則的に分け、分割領域に名前を付けたものを指します。地域ごとの統計情報の算出や場所の特定、図郭の管理などに使用します。そのため、GISを使用するうえでは欠かせないデータとなっているのです。

GISについては「GISにおける統計データ活用例を解説!商圏分析方法も紹介」をご覧ください。

地域メッシュの種類

地域メッシュには第1次メッシュから8分の1地域メッシュがあり、それぞれ用途と特徴が異なっています。以下、地域メッシュの種類と用途について確認していきましょう。

標準地域メッシュ

標準地域メッシュとは緯線と経線に基づいて地図を分割したものであり、範囲内でほぼ同一の大きさや形状の区画を区分したメッシュです。同じ地域のデータを一定の基準で分析・比較できるという特徴があります。標準地域メッシュは区分の方法によって、以下のような種類に分けられます。

以下の画像参照元:

地域メッシュの区分図(総務省統計局)

第1次メッシュ

緯度方向に40分、経度方向に1度の大きさのメッシュです。1 辺は約 80kmで、20万分の1相当の地図での区画に使われています。主に国土地理院が発行する20万分の1地勢図の図葉1面分の区画に使用されています。なお、「1度=60分」です。

第2次メッシュ

1次メッシュを緯度・経度に8分割したメッシュです。1 辺は約 10kmであり、2万5千分の1相当の地図を分割する方法として位置づけられています。主に2万5千分の1地勢図の図葉1面分の区画に使用されています。

第3次メッシュ

2次メッシュを緯度・経度方向に10等分したメッシュです。1 辺は約 1kmで緯度差は30秒、経度差は45秒です。地域の特性の分析に適したサイズなため、自然科学や社会科学の統計解析で使用されています。

2分の1地域メッシュ

3次メッシュを緯線・経線に2等分してできる区分方法であり、1辺の長さは約500mで、緯度差は15秒、経度差は22.5秒です。主な用途は小規模の都市型商業圏の分析です。

4分の1地域メッシュ

2分の1地域メッシュを緯線・経線に 2 等分してできる区分方法であり、1辺の長さは約250mです。緯度差は7.5秒、経度差は11.25秒です。主に都市型商業圏のエリア分析による出店計画の策定や世帯数の調査に用いられます。

8分の1地域メッシュ

4 分の1地域メッシュを緯線・経線に 2 等分してできる区分方法であり、1辺の長さは約125mです。緯度差は3.75秒、経度差は5.625秒です。主に都市型商業圏のエリア分析による出店計画の策定に用いられます。

地域メッシュの活用方法

地域メッシュの活用方法はどのようなものなのでしょう。メッシュデータファイルはテキスト形式のファイルであり、GISソフトで使用することができます。行政区画ごとのデータとは異なり、各メッシュ区画の面積の範囲で統計情報を比較することが可能です。
地域メッシュはGISで使用することにより、地理データの精度を向上させ多角的な分析を助けます。そのため、都市総合計画や防災計画、出店計画などに幅広く活用されています。以下、具体例を解説します。

不動産情報の管理

空き家や住宅系建物の分布率を調査し、その地域をメッシュで区分することで、世帯の増減や住宅系建物の棟数の変化を調査する活用案で、空き家予防策・建て替え促進の検討につなげることが狙いです。例えば、公共交通施設の近辺で空き家が発生する可能性のある場所を予測。利便性が高い地域ですので、積極的な建物建て替えや公共交通の再編の検討への活用が可能です。また空き家発生状況によっては、公共交通網を再編する余地もあるでしょう。
分析手法は2分の1地域メッシュ(500mメッシュ)世帯の増減を算出後、そのデータを可視化し、転出と転入による取引件数のデータを同じく500m単位で集計・可視化するというものです。
また、図書館や診療所、都市公園などの公的不動産の分布状況を同じく500mメッシュ単位で把握し、その利活用と最適な配置の検討もされています。
この不動産情報の利活用検討ではQGISという分析ソフトが用いられており、空間演算機能やデータ管理機能を備え、CSVデータによる情報の可視化・分析などが可能です。

分譲住宅に暮らす高齢者の現状の統計

国勢調査データで取られた特定地域のメッシュデータを活用し、高齢単身世帯数や高齢夫婦のみの世帯数の推計を取っている事例もあります。高齢者の分布状況の可視化により、災害時の危険性といった現状の課題の明確化につなげています。
分析手法は4分の1地域メッシュ(250mメッシュ)単位で集計した国勢調査のデータと民間データの「ゼンリン住宅ポイントデータ」等を併用し、調査対象地域の一般世帯数、一般世帯人員、一般世帯あたりの人員を分析するというものです。
災害時の避難先の近接性を分析することで、防災上の課題への対策の検討へと活かしています。なお、本事例では国勢調査だけでは把握しきれない部分を民間データで補足することで、分析の精度を上げたことも大きな特徴です。

コンビニエンスストアの出店計画への活用

2分の1地域メッシュ(500mメッシュ)を用いて地域内の人口分布とコンビニの分布率を把握し、出店地域を検討した事例です。
分析手法にはメッシュ単位での総人口や年齢別人口、世帯数と昼間の人口とコンビニの分布データを用意し、500mメッシュを使ってコンビニを出店する最低条件に沿ってポイントを抽出するというものです。抽出したポイントの世帯数や人口を集計し、GISを使って該当エリア内の競合店舗を検索し候補物件を絞ります。精緻な分析を経たうえで候補物件を選定し、GISではわからない点を検証する現地調査に至ります。

上記の例では500mメッシュ単位で集計をしていますが、弊社ではそれよりもさらに詳細な100mメッシュを用いることで、より狭い範囲(100m単位)での精緻な狭小商業圏分析が可能です。

100mメッシュ詳細については「メッシュ統計地図データ」をご覧ください。

まとめ

地域メッシュ統計は立地調査や設計、建物の維持管理に活用できる

地域メッシュは同一の大きさの区画単位で地域を分けるので、地域間の事象の分析や地域における建物の配置・距離に関する分析や比較に適した区分です。統計データの集計だけではなく、地形や自然環境・建築物などの位置や範囲も数値化できるので、これらのデータを統計結果と組み合わせることでさらに精度の高い分析が可能になります。建築事業の計画を立案するデータとして使ったり建築物の設計時に立地データを参考にしたりなど、各種目的に使用することができます。GISを用いた分析においては、欠かせない区分方法だといえるでしょう。
弊社の「建物ポイントデータ」 はさらに、建物面積や集合住宅の戸数、オフィスビル・商業ビルの部屋数、店舗数なども収録しています。建物ポイントデータをGIS上で既存のデータと組み合わせることで、さらに詳細な商業圏分析や最適な出店先の選定を実現することが可能です。
より信頼性の高い分析を求める方は、建物ポイントデータの詳細を以下よりご確認ください。

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