ゼンリンは、全国を網羅する住宅地図を作成しています。
ゼンリンでは、住宅地図を作成する際、スタッフが現地に赴きその場所を目で見て確かめるといった、もっとも確実な方法が採られています。加えて、最新のデジタル計測機器も導入済み。人間の目ではわからない緯度経度、標高などを含んだ、道路や地物、建物の情報を収集しています。このふたつが組み合わさり、世界に類を見ない高精度の地図が作り出されているのです。今回は、住宅地図の根幹を支える徒歩調査にフォーカスを当て、その秘密をご紹介します。
全国に拠点のあるゼンリン営業所のベテラン調査スタッフ2名に協力をお願いしました。
そもそも徒歩調査って何?
ゼンリンの地図情報の詳細さを支えるのが、徒歩調査と呼ばれる住宅地図の更新作業です。調査員は住宅地図原稿を元に、目視で地図と現況に相違がないか、事細かにチェックします。調査の中には、公共機関がリスト化していない情報、例えば空き家や、建設途中の家屋、店舗の情報などがあります。こういった目視と人の判断でしかわからない情報が近年、住宅地図以外のさまざまな用途に使われ始めています。
徒歩調査員の1日に密着
ゼンリン住宅地図の根幹を支える徒歩調査とは、具体的に何をしているのか?ここでは市街地、郊外それぞれの徒歩調査に密着。どんなものをチェックしているか、同行取材の内容をお伝えします。
市街地調査
住宅や商店が密集する市街地の調査は、家屋や集合住宅、店舗の確認が主になります。各種法令や規範を遵守しながら、一軒一軒の表札、住所、入口、建物形状、階数情報、個人宅か事業者かなどの建物に関する情報が住宅地図と整合するかをチェックします。また、一方通行や信号機、階段、フェンスなどの情報まで事細かに見ていきます。
出発前の準備
年間の住宅地図出版計画に従って、調査進捗表を確認。本日の調査予定を立てます。
その後、担当エリアの住宅地図原稿を用意。エリアを俯瞰し、どのように回るか頭の中でイメージします。この原稿と現況が整合しているか、違うかを調べるため、徒歩で調査、更新を行うのです。
調査ポイント
個人宅
一軒家の調査は、表札などの公開情報をチェック。建て替えや建て増しなどで、家の形が変わっていないか、入口がどの道に面しているかもチェックしています。表札は音読して、見落としや思い込みなどのミスを防ぎます。
雑居ビル/集合住宅
駅前などに多い雑居ビルや、マンションなどの集合住宅は、関係者以外立ち入り禁止の警告がない場合に限り、ポストの表示をチェックします。
看板
お店の看板で店舗名をチェック。閉店や、新規出店のため内装工事などが入っている場合は、ペンで注意書きをメモします。
交差点
交差点では、交差点名、歩道橋の形状をチェック。歩きながら歩道や分離帯なども住宅地図原稿と相違ないかチェックしています。
開発予定地
再開発事業区域の建設情報はこまめに確認します。現場での掲示情報のほか、情報として新聞の切り抜きなどもストックしています。
帰社後の更新業務
夕方に帰着。住宅地図原稿と整合している部分は緑、更新された部分は赤ペンでチェックが入っています。社内では進捗表を更新。その後、複数の編集過程を経て、調査済みの地図はデータ整備部門に送られます。
郊外調査
郊外の集落調査も、出発前の準備や帰社後の更新業務も含め、基本的には市街地調査と同じです。ただ、その一日はかなり異なります。現地には自動車で移動。複数の調査員を乗せていき、集合の時間と場所を決めてひとりずつ降車。ドライバーは最後に担当地点に到着し調査を始めます。
住宅地図で集落の形状を見て、車の位置がゴールになるように設定。一本道の集落なら、標高の高いところからこまめに自動車移動を行うなど、集落の形状で決めていきます。
調査ポイント
個人宅
郊外の大きな一軒家は、戸別訪問のようなかたちで表札をチェックします。お話をする機会がある場合は丁寧に説明して、ご理解をいただいた上で情報収集をします。また、郊外では、空き家化も進んでいます。空き家の判断は、外観の状況、電気設備などで判断します。
橋
山間部では住宅が少ない分、橋、その名前、用水路の流路など、地物のチェックが多くなります。橋の側面に名前がある場合も。
バス停
最近はコミュニティバスの運行も増えています。今回は新規で設置されたバス停を見つけました。
神社仏閣/倉庫/お墓/記念碑など
神社仏閣、倉庫や納屋、記念碑、お墓などの地物もくまなく地図に反映します。寺社では社の向きなども確認します。草などで隠れた石碑も 見落とさず確認します。
住宅地図から広がる可能性
今回は、住宅地図の根幹を支える調査力の一旦をご紹介しました。これからもゼンリンは、全国の約70の拠点と、約70年間住宅地図を作り続けているノウハウを駆使し、世の中の身近で便利なサービス構築に貢献していきます。多種多様な街の情報を収集し、お客様の未知のニーズにも応えられるゼンリンの地図作りに、ぜひご期待ください。
長年にわたり日本のビジネスを支援してきたゼンリンの住宅地図。日本全国を網羅し、常に最新の状態に更新される信頼性によって、様々な業界やシーンで活用されています。