「3D地図データ オンライン提供サービス」の導入は何をもたらしたのか

清水建設株式会社
(後列左から)
設計本部 開発計画部 田﨑智之氏
設計本部 開発計画部 樋口咲子氏
LCV事業本部 ICT・スマート事業部 谷口広樹氏
豊洲スマートシティ推進室 宮原夢未氏
(前列左から)
設計本部 開発計画部 部長 國嶋匡氏
設計本部 デジタルデザインセンター 加藤直礼氏
LCV事業本部 ICT・スマート事業部 事業部長 加藤雅裕氏

明治時代の平安神宮、戦前の東京大学安田講堂や戦後の国立代々木競技場といった国内の著名建築をはじめ、橋梁やダムといった土木、エネルギー関連施設などの建設事業を幅広く手掛ける、清水建設。
国内外で展開する多岐に渡る事業には、それぞれにプレゼンテーションのプロセスがついてまわる。
そこで力を発揮するのがゼンリンの「3D地図データ オンライン提供サービス」だ。
このサービスの活用によってどのように業務の効率が変化したのか。同社のスタッフ7名に話を聞いた。

ビジュアル資料の作成にはつきものだったいくつもの課題

新規案件の受注前には企画からシミュレーション、プレゼンテーションといった重要な仕事のステージが存在する。その際、カギとなるのが現場や建物を正確に、わかりやすく示すビジュアル資料だ。こうした資料をより効果的に作り上げるためには現場周辺の建造物、道路、地形、自然など多様な環境において、新たに作る建造物がどのように成立しうるかを精密に可視化することが何より求められる。
「私の所属するCGパースやアニメなどを制作するセクションでは、プレゼンテーション用のビジュアル資料などを作成するには外部の協力業者に発注するのが当たり前でした。それも基本は人海戦術で、たとえば半径10km程度のエリアの作成には2週間ほどもかかり、とてもエネルギーを要する作業。でも、プレゼンテーションにはこうしたビジュアルが欠かせません。魅力的なビジュアルを添えることによって、アピールする力は格段に増しますからね」(加藤直礼氏)
「協力業者に発注して出来上がったものを私たちのセクションで仕上げていくのですが、協力業者から一度あがってきたビジュアル素材に対してできることには限界があります。見栄えを後から作る、ということにせざるを得ないのでどうしても理想の仕上がりに近づけることが難しいケースもありました」(加藤直礼氏)

資料のクオリティ向上と、作成時間の短縮を同時に実現

こうした状況で着目したのがゼンリンの「3D地図データ」だった。定額制で使い放題の「3D地図データ オンライン提供サービス」を利用することで、時間、労力、コストの削減をすべて実現できる。そのような判断から、サービスの導入までに迷いはなかった。
「まず全国的にデータがカバーされている点に魅力を感じました。また、すぐに欲しいエリアの3D地図データをダウンロードできるスピード感も私たちの業務にフィットすると感じたのです」(加藤直礼氏)
「このサービスを導入してからはビジュアル資料にかかる協力業者への発注が一切なくなりました。設計本部全体では2019年10月から利用を開始して1年で200件超のダウンロードを行っています」(加藤直礼氏)
仕事のフローが抜本的に変わったと話す加藤氏。時間の余裕も生まれ、セクションのメンバー全員がビジュアル資料のクオリティ向上に集中できるようになったともいう。

質の高いビジュアルによってクライアントへの説得力が向上

プレゼンテーション資料を持ってクライアントと接する開発計画部の國嶋匡氏はこう話す。
「お客様とのコミュニケーションにおいて、周辺および街レベルでイメージや課題を初期段階から共有できるビジュアル作成に対し労力、時間、コストにより制約を受けてしまうことに課題があると感じていました。でもこのサービスを導入したことで、お客様へのスピード感のあるタイムリーな提案活動が躊躇なく実現しやすくなりました」(國嶋匡氏)
「プレゼンテーションの初期段階から高度なビジュアル資料を用意できるようになり、以前より説得力のあるアピールができるようになったと感じています。資料の質の向上によって、弊社の熱意を伝えるといった効果もあると思います」(國嶋匡氏)
建築物の提案をする上で、周辺との関係含めビジュアル資料はリアルなほどイメージを共有化しやすい。そのような観点で見ても、ゼンリンの「3D地図データ」を利用することでクライアントとの距離が縮まり、よりクリエイティブな議論に発展するなど複数のメリットがもたらされたという。

必要な資料は必要なだけ準備。 コストダウンによってスタッフの意識も大きく変化

さらに大きな変化はコストの削減だった。定額で利用できる契約ゆえ、コストを気にせず必要なだけ地図データを入手できるという環境は、社内の様々なセクションに大きな意識の変化ももたらした。
「プレゼンテーションはイコール、競争ということでもあります。ですので、少しでも効果的な資料があれば強力な武器となり、結果として大きなメリットをもたらします」(國嶋匡氏)
「これまでは一区画で数十万円から100万円以上のコストをかけて地図を作成していました。そのようなコストを考えずに3D地図データを利用できるというのはやはり大きなアドバンテージです」(加藤直礼氏)

ますます拡がる 3D地図データの用途

3D地図データの用途は、プレゼンテーション資料の作成に限定されない。たとえば設計の分野ではより高度な業務が、3D地図データの利用により実現できるかもしれないという。
「設計の初期段階における3Dシミュレーションはどんどん当たり前になってきています。弊社では設計初期段階で最新のコンピュテーショナルデザイン手法を活用して、設計者自身が様々なシミュレーションするためのデジタルプラットフォーム『Shimz DDE』を構築して組織展開を図っています。ゼンリンの3D地図は『Shimz DDE』との連携が良好で、景観や環境などの様々なシミュレーションで活用しています。3D地図は設計検討においても重要な役割を果たしているのです」(樋口咲子氏)
「これまでは、弊社が施工する建物の設計だけを検討していましたが、今後は周辺環境との関わり合いを初期段階から視野に入れつつ、きめ細かい設計プロセスを実現できるようになるでしょう。そのほかにも新たな用途が少しずつ増えてきて、社内ではさらに3D地図データの利用が増すだろうと考えています」(加藤雅裕氏)

恒久的に社会へと貢献する、高度な建築の時代へ

3D地図データの利用が期待される領域はまだまだある。それが、都市デジタルツイン構想だ。これは、現実空間の建物と街区を仮想空間に構築し、現実空間のセンシングデータを仮想空間でシミュレートした後に現実の世界へフィードバックすることで、高度な街づくりを実現する手法。清水建設は豊洲6丁目の周辺エリアを対象に、都市デジタルツインプラットフォーム構築を推進中なのだ。
「将来的には都市デジタルツインプラットフォームを活用し、例えば建築物がひとつ加わることで、そのエリアの自動車の交通量や歩行者の動向がどのように変化するかを企画設計段階でつかむことができるようになるでしょう。そのためには正確な3D地図が必要ですし、オブジェクトとして道路や信号、車や人なども3Dで表現していきたい。今後、このようにあらゆるオブジェクトが3Dで利用できるようになれば、より精度の高い検討が出来ると思います」(宮原夢未氏)
「作ったら終わりという時代は過ぎ、今では恒久的に人のため、社会のためにはどのような建築が理想かを考慮する必要があります。そこで大切なのが未来をシミュレーションするというプロセス。私たちの業務においても、確実に3D地図データのようなツールが益々求められるようになってくるでしょう」(加藤雅裕氏)

プレゼンテーション資料作成の用途にとどまらず、設計や都市デジタルツイン構想にも貢献することになるであろう、ゼンリンの「3D地図データ」。こうしたニーズの高まりを受け、3D地図データの質も日々、向上し、オンラインサービスの利便性もアップデートし続けている。よりよい社会の発展に貢献するために。ゼンリンはこれからも質の高い地図データの作成、提供を使命とし、進化を止めない。

豊洲エリアの3D地図データに計画建物を加えたものと、ビジュアル資料完成版。CEATEC等でも使用された。

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