いざという時のために「自主防災マップ」をつくろう!

豪雨によるがけ崩れや浸水、地震による津波や家屋倒壊など、いつ発生するかわからない自然災害。突発的な災害に備えるために、普段から家族で防災意識を高めておくことが大切です。

日常からできる防災対策として、防災グッズの常備や避難場所・連絡経路の確認などがありますが、重要なもののひとつに「自主防災マップ」が挙げられます。自主防災マップとは、市区町村から配布されるハザードマップをもとに、実際にまちを歩いて調べるなどを経て作成する、その家族だけのオリジナル地図です。家族全員で協力して作成することで、災害への共通意識を持つきっかけにもつながるでしょう。

今回の特集では、自主防災マップの作り方を詳しくご紹介します。必要なものや調査時にチェックするポイントなどを確認しながら、ぜひみなさんも自主防災マップを作成してみてください。

「自主防災マップ」作成に必要なもの

自主防災マップは、地域の防災情報を前もって整理・確認することで、いざという時の正しい判断と安全で速やかな避難を手助けするツールです。命を守るための行動をご家族でしっかり考えていただくことが大切なので、週末など時間がゆっくり取れるときに作成するようにしましょう。

自主防災マップ作成にあたり、必要なものは5点です。

1. 市区町村が作成するハザードマップ
市区町村ごとに作成しているハザードマップは市役所や公民館などで配布されているほか、HPからもダウンロードできる場合もあります。

2. 自宅周辺の地図
今回は「ゼンリン自主防災マップ」を利用しました。話し合ったことをまとめるための「清書(保存)用」と調査で使用する「下書き用」をそれぞれ1部ずつ、A3サイズで出力します。

3. 筆記具
事前の準備や実際の避難ルート調査、清書で使用します。油性ペンやボールペンなどの水に強いペンがおすすめです。黒、赤、緑の3色をご用意ください。

4. 下敷き/画板
避難ルートの調査で使用します。立ちながらメモできるように、下敷きや画板などを準備するとスムーズに進みます。

5. 暑さ、寒さ対策
避難ルートの調査をする日の気候に合わせて準備をしましょう。夏であれば熱中症対策を、冬であれば寒さ対策を行います。またここで講じた対策を振り返りながら、非常用持ち出し袋の中身を再検討するのも良いでしょう。

【机上調査編】改めて住まいの地域の危険を確認

1. 市区町村が配布するハザードマップを確認

まずは住んでいる地域で想定される被害を把握します。河川のはん濫や内水はん濫、高潮、崖崩れなど災害の種類別に住居周辺の状況を確認し、危険な地点を家族で話し合います。

2. 避難場所の位置を確認

指定避難場所までの最短ルートだけでなく、状況によって通行に危険が伴う可能性を考慮して、複数の避難ルートを検討する必要があります。また、指定避難場所ではないが避難できそうな場所(公園等)とそのルートもあわせてチェックしましょう。

また各避難先が危険エリアに該当する場合は、危険エリア外の親戚・知人宅への避難や自宅待機(在宅避難)も視野にいれましょう。

3. 街歩き調査するルートを決定

防災マップ作成のために実際に街歩き調査をするルートを決めます。小さなお子さまがいる家庭では、子ども目線での危険物の発見もありますので、ぜひ一緒にルートを決めるようにしましょう。

【調査編】防災の視点で地域を見つめ直す

防災の観点で、自宅から避難場所までのルートを実際に歩いて調査します。調査ではルート上に危険箇所がないかをチェックし、発見し次第、下書き用の地図に書き込んでいきます。普段何気なく通っている道にも意外な危険が潜んでいるかもしれません。注意深く歩いてみましょう。

ここでは特に気を付けたい4つのポイントをご紹介します。

その1. 排水口、側溝、マンホール

水害時には浸水などによって排水口や側溝が目視できず、足元をとられてケガをする可能性があります。

その2. 築年数の古い建物

築年数の古い建物や木造建築などは、震災時に火災・倒壊の恐れがあります。道路に沿って建てられている場合、ルートが塞がれる可能性があるためチェックするようにしましょう。

その3. 石垣やフェンス

震災時には倒壊する恐れがあり、道が塞がれてしまうことも。また崩れたブロックが頭上に落ちてくる可能性もあります。特に小さいお子さまがいるご家庭では注意してください。

その4. アンダーパス

アンダーパスは、前後の区間と比べて急激に道路の高さが低くなっている道路です。排水ポンプの能力を超える大雨が降った場合、水が溜まってしまい通行ができなくなる恐れもあります。

調査時には改めて避難経路上でのアンダーパスの有無をチェックし、ある場合には事前交通規制の実施など、付近に設置された情報板で確認しておきましょう。

地図へ書き込む際には、必ず立ち止まり交通の妨げにならないように気を付けましょう。また後で振り返るために、歩行ルートと所要時間を書き込んでおくようにしましょう。ルートによっては昼と夜で、歩きやすさが大きく変わることもあります。時間帯を変えて街歩きをおこない、家族でケース別の避難方法を話し合うのもおすすめです。

【まとめ編】話し合った情報を1枚の地図に記載する

ルートの現地調査でチェックした危険箇所や注意すべきことなどを、ご家族で話し合いながら清書(保存)用の地図に書き写します。書き写す際は情報別にペンで色分けし、整理していきましょう。


<色分け例>
● 黒:危険エリア、アンダーパス以外の危険箇所の場所
● 緑:避難先
● 赤色:自宅、避難経路、アンダーパスの場所と情報、アンダーパス以外の危険箇所の情報


大切なポイントは、『家族で話し合ったこと・見つけたことを1枚の地図で情報共有すること』です。大規模な災害では複合的な被害の発生も想定されます。河川のはん濫や高潮、がけ崩れなど、想定される災害と一緒に、街歩き調査や話し合いで気付いたことを清書用に記載しましょう。

【活用編】日頃から自主防災マップをチェック

完成後は日頃から見えるところに貼ったり、非常用持ち出し袋の中に入れたり、すぐに持ち出せるようにしておきます。家族の人数分コピーをし、各自が日頃から持ち歩くようにするのもおすすめです。

また、街は常に変化します。新しい道路や建物など定期的に(1年に1回程度)チェックし、危険箇所や避難経路を見直して、自主防災マップを更新するようにしましょう。

「防災意識向上につながった」自主防災マップを作って感じたこと

今回はゼンリン社員Aさんとその家族に自主防災マップを作成してもらいました。マップの作成を通じて、「子どもの防災意識向上に良い機会となった」と社員Aさんは話します。

「災害時を想定して実際に道を歩くことで、普段は気にならないようなものにも発見がありました。例えば付近の工場にあったパレットなども、水害の際には漂流物となり危険物になるかもしれません」

また来年から小学生になるというお子さん。子どもが1人で過ごす時間が増えるため、災害発生時に家族がバラバラのケースも想定されると話します。

「子どもが1人でいるときに災害が発生したらどのように行動をすればいいのか、家族でルールを決めるきっかけにもつながりました。後日おでかけの際に、子どもが側溝を指さし『危ないところだね』と話しかけてきたので、改めて自主防災マップ作りが防災意識を高める良い機会になったと感じました」

プログラミング学習を通じ、楽しみながら防災意識を高める

家族で楽しみながら防災に取り組むために、デジタル地図を活用したプログラミング学習ツールの活用もあります。

ゼンリンの「まなっぷ」は地図をベースとした子ども向けのプログラミング学習教材。物件の入力や表示、ルートシミュレーションを通じて思考力を高めながら、同時に防災について学ぶことができます。

実際に自主防災マップの危険箇所や避難場所などの情報を「まなっぷ」に入力し、プログラミングにて避難ルートのシミュレーションを体験したご家族はこう話します。
「子どもは『まなっぷ』を、学習ではなく遊びのひとつとして考えていたようです。想像よりも順序立てて考えることができており、操作も抵抗なく使えていたので、早い時期から利用してもよいのではないか、と感じました」


災害別にシミュレーションができるため、災害の種類に応じて複数の避難ルートを考案できるのも「まなっぷ」の特長です。PCやタブレットを活用して、最新の防災ツールにチャレンジしてみてください。

すべては家族の安心のため。普段からできることを一つずつ

家族での自主防災マップの作成は、日頃の防災意識を高め、いざというときも焦らずに行動する第一歩につながります。この小さな積み重ねは、いずれ起こるかもしれない有事での家族全員の安全を高める道しるべです。

「普段からよく知っている町なので、改めて防災マップを作らなくてもいいのでは?」と思っても、視点を変えて歩くことで気付く危険があるでしょう。いつ発生してもおかしくはない災害に備えて、できることからコツコツと。ぜひ家族でオリジナルの自主防災マップを作成してみてくださいね。

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