2014/10/28時点の情報です。
こんにちは。地理人です。
秋も深まり、徐々に寒くなって参りましたが、いかがお過ごしでしょうか。
今回は、地図の見方・読み方を深めるべく行動範囲と縮尺に迫っていきます。
地図にはさまざまな縮尺の地図がありますが、それぞれの地図上で、行動範囲がどのように表されるかを見ていきたいと思います。
紙地図のメリット~正確な縮尺と一覧性~
インターネットが繋がっていれば、いつでもどこでも見られる手軽さは、インターネットで閲覧できる地図(以下:ネット地図)のメリットです。ただし、ネット地図にも欠点があり、そこを紙地図がカバーしています。
ネット地図は、縮尺の表記(端にある「◯m」の表記)が最大で10%程度ズレるなど、正確に表示されないことがあります。表示される地図の大きさも、機器(画面)によって粒子の大きさ(解像度)が異なるため、変わってきます。そのため、大まかな距離はつかむことはできますが、正確な距離を知りたい場合は、紙地図に頼るしかありません。
また、画面よりも印刷のほうが細い線や小さな文字が再現できることから、A3サイズの紙地図の方が、ほぼ同じA3大ほどの画面でネット地図を見るよりもよりも、より詳細な地図を見ることができます。
地図の様相3分類
縮尺が違えば、地図の様相も異なります。正確な分類はありませんが、3つに大別できます。

1つ1つの建物が描かれています。ネット地図では、集合場所の飲食店を探すときに使うことも多いでしょう。徒歩5分以内で行ける狭い範囲を一望し、建物を確認するのに便利です。紙地図では1500分の1から3000分の1のゼンリン住宅地図が該当します。一軒一軒の建物名が書かれていて、見開き(A2サイズ)で東西600mの幅が見渡せます。

全ての道路と主要な建物が描かれています。ネット地図では、徒歩でも少々遠い範囲を見るときに使うことも多いのではないでしょうか。徒歩で行くには遠くても、自転車や車で行く範囲を一望するのには便利です。紙地図では8000分の1から15000分の1の都市地図が該当します。中でも1万分の1の地図が一般的で、見開き(A3サイズ)で東西3kmの幅が見渡せます。

主要道や鉄道のみが描かれており、遠距離の移動の際に便利です。ネット地図でも、広域を見渡すためにズームアウトしたり、細かい道を見るためにズームアップしたりすることも多いでしょう。紙地図では5万分の1から30万分の1以上のものまで幅広くあります。東西の幅も、15kmから100kmを超える距離を見渡せるものもあります。
身近な距離を自分のスケールに
身近な距離、例えば自分の家からよく行く場所までの距離がどのくらいか、何(キロ)メートルくらいで、何分かかるのかを気に留めてみましょう。その距離が、見やすいスケールの地図で、どのくらいの長さで表示されるのかを見て、長さの感覚をつかみます。
同じスケールで、未知の場所の地図を見ると、今の自分の感覚で距離がつかめることでしょう。紙地図でも、ネット地図でも、馴染みの地図を見つけて、同じ地図で未知の場所へトリップしてみるのはいかがでしょうか。
次回は、空想地図制作の裏側「傾斜の表現」をお届けします。お楽しみに!

地理人(今和泉 隆行)
1985年鹿児島市生まれ。7歳のときに道路地図やバス路線図を書き始める。
1997年に実在しない「中村市」の都市地図の原形を書き始め、現在も改正中。
主な著者「みんなの空想地図」白水社