物件収集業務の効率化にDXが必要な理由とは?現状の課題やデータ活用例も紹介

好条件な物件を競合よりも早く仕入れるには情報の収集と把握が不可欠です。しかし「なかなか自社の希望に合致する情報が集まってこない」「期待値の高そうな物件が見つかったけど、詳細な情報を取るのに時間がかかる」といった悩みを抱えている企業の担当者は多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、物件収集業務の現状と課題を明確にし、効率化にDXが必要な理由と実際のデータ活用例を紹介します。物件収集業務を改善し、土地・店舗開発の成功を実現させるための参考としてください。

物件収集業務とは

物件収集業務とは、開発・リフォーム等をすることで高値でも売れそうな不動産(土地・空き家・店舗等)を仕入れる業務のことです。リフォームをしたり、施設・土地を開発したりすることで付加価値がつきそうな不動産を探します。ニーズのある土地や建物、つまり好条件な不動産であるほど得られる利益や開発の成功率が高くなるため、物件収集業務は会社の業績に大きな影響を及ぼす非常に重要な業務と位置づけられています。
開発を目的とした不動産の仕入れは、自社の計画や開発用途に合う不動産を探す必要がある点が不動産仲介業とは異なり、難易度も高くなる傾向です。

物件収集業務の現状と課題

物件収集業務は、対象の地域や不動産の現状を把握するところから始まります。また、開発計画に合致する物件を探し、成約にこぎつけるためには土地の持ち主から信頼を得なければなりません。
地方であれば地場に強い不動産仲介業者、ほかにも法人の顧客と太いつながりを持つ信託銀行やゼネコン、ときには地主の人たちのところへ出向き、熱意を伝えることも重要な業務のひとつです。ただし、よい物件に巡り会えるかは運の要素もあり、一人の人材がアタックできる母数にも限りがあります。そのため現状の手法においては、原則としてより多くの人材を用意できる企業のほうが有利だといえます。
しかし、人材不足が課題になっている日本では、人材数だけに頼るのは効率的ではないでしょう。物件収集業務の生産性改善は企業の競争力を高めるうえで避けて通れないものだといえます。また、人的つながりに偏ってしまうと担当者の経験や人脈次第では埋もれてしまう物件が生じかねません。アナログ的手法から脱却し情報収集の精度を高めていくことも市場の期待に応えるために重要な要素となっています。

物件収集業務の効率化におけるDXの必要性

先に述べたように、物件収集業務では足で稼ぐアナログな手法も重要な仕事です。一方で、人材不足や労働環境の改善も待ったなしの状況のなか、より生産性を高める施策が求められています。
そこで期待を寄せられているのがDX(デジタルトランスフォーメーション)です。ここではDXとは何なのか、なぜ必要なのかについて解説していきます。

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは

DXとはIT技術を駆使してデジタル化を推進し、業務自体の構造や業界の仕組みも変革していくことです。改革により得られるメリットとして期待されていることは以下のとおりです。

業務効率化

IT技術の活用による既存ビジネスの付加価値向上

新たなビジネスモデルの創造

ITを顧客対応に活用することによる、よりよい顧客体験の提供

ちなみに、DXとよく似た言葉に「デジタライゼーション」があります。デジタライゼーションとは個別の業務やプロセスなどをデジタル化することですが、DXは単純にアナログな業務・プロセスをデジタルに置き換えただけのものではありません。DXでは、自社の問題解決やビジネスの改変による持続的な成長の実現。また、顧客起点でサービスの検討・開発なども行っていく点が単なるデジタル化推進とは大きく異なります。

不動産業界にDXが必要な理由

総務省「令和3年版情報通信白書」によると、2000年以降における不動産や建設業界の生産性はほかの業界と比べて低く、横ばい傾向で改善が見られません。この状況を打破するため、DX(デジタルトランスフォーメーション)推進による生産性改善が期待されています。
実際、対面によるやり取りを重視してきた不動産業界にもオンラインによる接客や電子契約が求められています。それに対応する動きとして、2017年にはそれまで対面で行うことが定められた重要事項説明が、賃貸取引に関してオンラインで行えるようになりました。その後2021年からは売買取引おいても重要事項説明がオンラインで行えるようになりましたし、2022年5月からは賃貸・売買取引における「重要事項説明書」「契約締結時書面」などの電子化も可能となりました。
これらの流れに乗って不動産業界がさらなる顧客のニーズに応えるには、さらにデジタル化を推進し、DXを進展させていく必要があります。

物件収集業務におけるDX推進の課題

不動産業界では、物件に関する個々の情報については電子化が進展していますが、情報の連携はまだまだ不十分です。日本の不動産業界には、建物・土地ともに業界共通の番号(ID)がなく、不動産関連の情報を共有・蓄積・活用できていない課題があります。つまり、物件収集業務において、DXを推進していくための基盤がまだしっかり整っていないのが現状です。
そこで国土交通省が先導して不動産IDに関するルールを整備しています。不動産IDルール検討会にはゼンリンも深く関わっており、構成員としてDB戦略室 室長が参画しています。
ほかにも、DX推進のために必要になるツールの導入や活用事例が少なく、自社に適用する難易度やコストが不透明なため企業が導入しにくいという課題もあります。他業界を見ると、DX推進に積極的な企業が先行してツールやデータの利活用に取り組むことで効果が明らかになり、導入企業が増加していくという流れをたどっています。不動産物件のオンライン接客やIDルール制定などが起爆剤となり、今後は不動産業界においてもDX推進の取り組みが促進すると考えられます。

物件収集業務におけるデータ活用例

現状で不動産業界のデジタル化が進んでいないことをチャンスと捉えて、データ活用のツールを開発する企業も出てきています。実際にどのようなデータがどういう用途に使われているのかを紹介していきます。

不動産情報を地図上に見える化

例えば、インターネット上に分散している膨大な不動産データを単一の地図上にまとめて表示してくれるツールを利用することで業務効率化が図れます。現状では、物件情報を取得するため、Webサイトを一つひとつチェックしている企業も多いのではないでしょうか。しかしこのようなツールならば、一目で地図上にデータを表示できるため、不動産サイトを一つひとつ確認していく業務から解放されます。
CSVなどで帳票出力できる機能があるものを選べば、手作業でExcelにまとめる必要もなくなります。また、条件に合わせた絞り込みもでき、目的に近い物件がどこにあるかがわかります。アプローチ先を事前に絞り込めるので、効率よく精度の高い物件検索が可能です。
株式会社ゼンリンも不動産情報を地図上に見える化できる「建物ポイントデータ」を提供しています。全国の建物のデータが詳細に収録されており、地図アプリ上に表示させることも可能です。また「ZENRIN GISパッケージ不動産 プレミアム」を導入し、地図上に不動産の情報を登録することで簡易的なベータベースとして活用。管理業務を効率化した事例もあります。

不動産登記情報の活用

物件収集業務におけるデータ活用として、不動産登記情報を提供するサービスを展開している企業もあります。データが最新情報に自動で更新されるため、相続・遺贈・差し押さえなど不動産におけるイベントが発生したことがすぐに把握でき、不動産の所有者に対して迅速なアプローチが可能です。これまでは相続・遺贈等の事実を知るためには地域で信頼関係を築くことが重要でしたが、このようなサービスを活用することで人的つながりに頼りすぎることなく物件収集業務を行うことができます。

営業チームの属人化解消

物件収集における社内の業務を効率化するため、活動データを一元管理し、細かく分析できるツールもあります。マーケティング業界ではすでに類似のツールが広く使われており、営業活動の支援や管理業務の効率化が見込まれています。データに基づいて営業活動を改善していけることで成果を出しやすくなりますし、成績のよい人の事例が共有されることで、若手でもベテランのノウハウを活用可能です。これらによってアタックできる母数に限りがあるなかでも、効果を上げていくことが期待されます。

物件収集におけるデータ活用は粒度が重要

従来、物件収集業務は多くの人材が足を使って行っていくものでした。しかし、人材不足やデジタル化の進んだ現在では、人海戦術に頼る手法は非効率的と言わざるを得ません。とはいえ、やみくもにツールを導入してもコストばかりかかってしまう懸念があります。効率化のために重要なツールを見極めてDX化を進めることが重要です。
またデータ活用においては、単にデータを収集するのではなく、自社にとって有益なデータを選択していくことも必要です。また、データ活用から得られる効果を最大限にするには、欲しい情報を高い精度で把握しているかが重要となるでしょう。

弊社では、全国3,800万棟の建物情報を収録した「建物ポイントデータ」を提供しています。GISアプリケーションと組み合わせることで地図上にデータを可視化することも可能です。物件収集業務の効率化と営業活動の精度向上のために役立つことでしょう。
詳しい仕様を知りたい方は、以下のリンクからぜひご確認ください。

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