不動産業界とひと口に言ってもその種類は、不動産開発、仲介、売買、管理などさまざまです。このなかでも仲介や販売は、消費者向けビジネスも多く、個人顧客向けとして広告やチラシなどのオフラインから、Webを活用したマーケティングを行う企業も珍しくありません。これに対し、不動産開発は主に企業や団体向けで、それらを相手に土地の売買や商業施設、オフィスビルの企画を行うものです。近年は不動産販売においても不動産開発においても、インターネットやデジタルを取り入れたマーケティング戦略の必要性が高まっています。本記事では、特に不動産開発において、顧客獲得に欠かせない新たなマーケティング戦略のポイントをお伝えします。
不動産販売向けと開発向け、それぞれのマーケティング戦略
不動産業のマーケティング戦略は、販売向けと開発向けで異なるケースも珍しくはありません。それは、不動産販売向けの主なターゲットが個人や法人であるのに対し、開発向けの主なターゲットは建設コンサルタント業やプロジェクト担当者になるからです。それぞれの主なマーケティング戦略として挙げられるのは次のとおりで、どちらもターゲットとなるエリアに応じたマーケティングを行います。
不動産販売向けの主なマーケティング戦略
不動産販売向けの主なマーケティング戦略は、エリアマーケティングです。地域の特性に合わせたマーケティング手法であり、各地域の土地柄や交通インフラ、生活様式といった特徴を軸に戦略を立てていきます。
※エリアマーケティングについて詳しくは下記リンクをご覧ください。
不動産開発向けの主なマーケティング戦略
不動産開発向けの主なマーケティング戦略は、用地取得を主としたマーケティングです。その商圏もしくは近隣に住む住民の性別や年齢といった属性や趣味嗜好から、市場規模や地域特性などのデータ収集・分析を行います。 ゼンリンの「3D地図データ」は自社の詳細地図情報と専用車両で計測したデータを用いることで、現実の街並みをテクスチャ付きで忠実に再現します。それらの情報は建設設計時のシミュレーションに活用でき、精度の高い計画立案につながります。
そのうえで建設事業の企画や計画等を行っていきます。
これから力を入れるべき不動産販売向け・開発向けのマーケティング手法
不動産販売向けと開発向け、それぞれの主なマーケティング戦略を見たところで、それぞれが今後、力を入れていくべきマーケティング手法について解説します。
不動産販売向けが力を入れるべきマーケティング手法
日本企業全体においてそうであるように、不動産業界も人材不足が慢性化しています。少子高齢化の影響で生産年齢人口が減少しているなか、人材不足は今後も継続すると考えらます。限られた人材で成果を上げていくためには、マーケティングもできるだけ効率的な手法を取り入れなければなりません。そこで力を入れるべきはネット活用です。
ネットを活用したマーケティング手法としては、Web広告、SNS、自社Webサイトでのホワイトペーパーや資料ダウンロード、ウェビナーなどが挙げられます。これらインターネットを活用した手法に力を入れることで、少人数であっても効率的なマーケティングが可能になるでしょう。
不動産開発向けが力を入れるべきマーケティング手法
不動産開発向け事業も、人材不足が慢性化している点では販売向けと大きな違いはありません。そのため、効率的なマーケティングを実現するために、インターネットを活用しなければならない点は同様です。さらに重要なポイントとなるのは、ターゲット戦略に基づいた「データ活用」です。
不動産開発となると商業施設であったり、オフィスビルであったりと規模が大きなものとなるため、地域の選択はより慎重にならざるを得ません。そこで不動産開発の成功率を高めるために欠かせないものが、ターゲットを説得する力を持つデータの活用です。
ただし、データは単純に多ければよいわけではありません。ターゲットが何を求めているのか、そのニーズの把握が必須であり、ターゲットを明確化することで初めてどのようなデータが必要であるかが決まります。つまり不動産開発向けが力を入れるべきマーケティング手法は、電話や訪問営業といったアナログからデジタル化への移行。そのうえでターゲットニーズ把握とターゲットに合わせた「データ活用」だといえるでしょう。
不動産開発向けのデータ活用事例
ここで不動産開発向けのデータ活用事例を紹介します。
物件情報や空き地情報の可視化・情報共有により業務効率化を実現
総合不動産会社、小田急不動産様(以下同社)の用地の仕入れ、造成および建築計画までを担う部門における活用例です。同社では、紙の住宅地図やExcelファイル上に空き地情報が散在していて、社内での情報共有も進んでいませんでした。また、収集した空き地情報は明確な運用ルールもなく、担当者ベースでの管理となっていたため、異動があれば情報の引継ぎもできず、せっかく収集した情報が活用できずにいたのです。
効率化を目指してペーパーレス化を進めてはいたものの、情報の収集・管理ルールが定まっていなければ、効率化は進みません。かといって最初から仕組みをつくり直すのも時間やコスト負担が大きく改善が進まない状態でした。
そこで、収集した空き地情報の整理とペーパーレス化、双方の課題解決を実現させるべく、「ZENRIN GISパッケージ不動産 プレミアム」の導入を決定しました。同アプリケーションは、空き地情報のデジタル化を進めつつ、さまざまな情報を紐付け、物件情報管理を可能にするものです。さらに収集したデータの適切な管理と以前使用していたExcelデータの移行もスムーズに進められるようになりました。
導入の結果、これまでは複数のフォーマットで管理していた空き地情報を一括管理できるようになり、簡易的なデータベースとしての活用も可能になりました。さらにデータ重複の確認も、Excelデータの確認が必要なくなり、作業の効率化も果たせるようになったのです。
現在では、「ZENRIN GISパッケージ不動産 プレミアム」で空き地情報のほか、不動産仲介業者から得た流通物件情報も合わせて登録・管理を行っています。これにより、建ぺい率、容積率などの自動取得が可能になり、さらに物件の紹介元や時期といった付随情報も個別に登録できるため、問い合わせ対応の効率化も実現しました。また、分譲時の区画割や各区画の価格などを策定するうえでも、すでに登録されている近隣の不動産を地図上で確認して、その情報をすぐに参照できるようになったということです。
上記のような情報のデータベース化は、ターゲットに合わせた販売提案、不動産開発などのマーケティング手法に大きく寄与することでしょう。
不動産開発のマーケティング効率化はターゲットに合わせたデータ活用がポイント
少子高齢化の影響による生産年齢人口の減少はもはや止めることはできません。そのため、これまでのようなオフラインを中心としたマーケティングによる顧客獲得は限界があるといえます。
効率的なマーケティング戦略のポイントは、ターゲットに即したデータの活用です。デジタル化を進めつつ、インターネットを活用することで、ターゲットの絞り込みからターゲットの求めるものの把握まで、コストを抑えつつ効率化が果たせます。
不動産開発業では、ターゲットが求める情報を的確に把握し、提供するためにもターゲットエリアの情報収集が大きく影響します。そこでおすすめなのが、ゼンリンの建物ポイントデータです。
全国3,800万棟の建物情報を収録した建物ポイントデータでは、建物タイプの分類をはじめ、住居やテナント情報の属性を網羅しています。ターゲットエリアの市場調査に欠かせないさまざまな情報の活用も可能です。これからの不動産業界でのマーケティング戦略実施を検討されている際は、ぜひお気軽にご相談ください。
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